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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
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逡巡

 僕のすべてを打ち明けるのは、たぶん相当に危険な賭けになる。

 と言って今さら、一切何も話さないでいるのはむずかしい。

 迷う僕に、彼女は続ける。


グルジア(サカルトヴェロ)は本当に、いろいろな人の行き来する場所なの……たとえば、祖国を追われた人も」


 ――あなたのように。

 恐らくはそう省略したのは、彼女なりの気遣いだろうか。

 寄る辺のない、この地に迷い込んだ僕への。

 そう考えると、どうにも複雑な気分になる。


「でも、みんながそう考えるとは限らない。戦争が終わったの、知ってるでしょう? “次”もあるんじゃないか――そんなお話もあるの」


 なるほど、と少しだけ納得がいった。

 僕を疑っているのは彼女じゃない、村の人々なのだ。

 立派に農場の主とは言え、十代半ばの娘が無関係でいるのはむずかしい。


 お人好しはどちらだろう、と心の中で苦笑いが漏れる。

 いや、僕にしてもそれは同じだ。

 少なくもこの1年、疑念を感じたことなどなかったのだから。

 そう思い直してみると、僕の考えも少し変わってくる。


 その恩を今、一部分なりとも返すべきではないだろうか?

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