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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
159/350

問いかけ

「――諦めと言う奴を、ようやく覚えたのかも知れません」


 二十数年を生きてきて、ようやく。


「ほう?」


「僕がその気になって考えたなら(・・・・・)、ありとあらゆることを何とかできるつもりでした。たぶん、自惚れだったのでしょう。果たして、一度は何とか叶った、でもそうでないこともある」


 右の手で、利かない左腕を握りしめる。

 寒さのせいもあって、いつも以上にうまく動かない。


「――気まぐれ、とでも言いましょうか。天にいるかも知れない誰かさんは、こちらの代償に見向きもしないこともある。……いや、諦めとは違うかな、単にありのままに事実を、そのまま受け入れるようになった、と言うだけだ」


「ふむ」


 軽く顎に手を当て、老人は問いかける。


「だからと言って、何か大きなものを、諦めた訳ではないのでしょう?」


「――それは。どうでしょう、どこからを大きなものと言っていいのか」


 譲れないことはもちろん、ある。

 けれども。

 それ以外を小さなこと(・・・・・)、些細なこととしてしまうと、何か(・・)大きく間違えてしまう気もする。

 その何か(・・)が何なのか。

 僕にはまだ、上手く言うことができない。

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