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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
158/350

迫る足音

 老人は穏やかに頷き、後を続ける。


「左様で。もっとも、少しどころではなく落ち着かれましたよ」


「……どうも」


 思わず苦笑いが漏れる。

 迫っている日露の戦争。

 後に続くかも知れない、最初の革命。

 確かに、僕は焦っていたかも知れない。

 焦ったところで、どうしようもないことに対してまで。


「――お時間があれば、少しお伺いしたいのですが」


 いい機会かも知れない、そう僕は切り出す。


「何なりと。もっとも、この老いぼれに答えられる範囲であれば、ですが」


「いえ、そこまでのことではないです。ただ、最初からそう仰ることがなかったのは、なぜなのかな、と」


 わずかな笑みとともに、老人は問いを受け止める。


「物事には、時、と言うものがあります」


「――時、ですか?」


「そうです。同じ事を言ったとて、否か諾かが状況次第なこともある。言ってよければ、あの頃の貴方は、その時ではなかったように思いましたな」


 確かに、そうかも知れない。

 身を切り、心まで切り込む、冬季シベリアの寒さ。

 僕に余裕が出来たのは、比較的最近のことだ。

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