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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
156/350

ドストエフスキー

 あと数分ということろで銃殺を免れた、若き作家。

 作家はその後、10年を流刑と兵役に、残りの20年を執筆に費やすことになる。

 彼が亡くなったのは1881年、春をもうじき控えた時期。

 あの12月の銃殺刑の宣告から、およそ31年後のことだった。


 通り一遍の知識をそらんじ、僕は気付く。

 作家が生まれたのは、1821年のこと。

 つまり1902年の今、生きていて不思議ではなかったのだ。

 そう絵空事という訳でもない。

 7歳下のトルストイだって、これから80を過ぎて生き続けるはずなのだから。


「それにしても珍しい。今日は何か、買い物かな?」


 不意の感慨にひたる僕を、老革命家の声が呼び覚ます。


「――ええ、ちょっと薪を昨日切らしてしまって。こう寒いと、石ストーブ(ペチカ)の精霊も休む暇がないでしょう。ちょっと大食いになってるみたいだ」


 人好きのする笑顔を浮かべながら、老人は言う。


「それがいい。明日できることは明日、今日できることは今日。穏やかに生きるコツだ」

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