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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
155/350

老革命家

 外に出る。


「寒っ」


 何度味わってみても、この寒さにはなかなか慣れない。


 同じ氷点下でも、空気が乾燥していると比較的ましだ。

 けれども逆に、湿気があるとかなりつらい。

 具体的には、1,2度辺りからグッと冷え込んだ日が一番ひどい。

 目一杯に湿度が上がっていて、水分はちょっと遠慮したくなるくらい寒さを運んでくる。

 押し売りもいいところだけど、断っても無言でサービスしてくれる辺りがちがう。


「――おお、ユーリさん。今日はなかなか早いですな」


「あ、お早うございます、セルゲイさん」


 防寒具の合間から、白髪と白髭がのぞける偉丈夫。

 十二月党員(デカブリスト)の乱に参加し、この地に追放された。

 老革命家を名乗るこの隣人は、以前そう話していた。


 ――もっとも、帝政転覆を企んだデカブリストの乱は1825年。

 今、1902年1月から数えて、もう76年は前の話だ。

 さすがに「参加していた」とのそれは、ホラに近いと思う。

 せいぜいペトラシェフスキー事件だろう――そう思いかけて、あの事件の年代を思い出す。

 1849年、12月。こちらももう、ほぼ52年前だ。


 52年前の事件。

 銃殺刑を宣告された、ペトラシェフスキーを始めとする二十数名。

 銃が向けられ刑の執行直前、シベリア流刑へと減刑(・・)された彼ら。

 その中には当時28歳の若手作家も含まれていた。

 彼の名は、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーと言う。

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