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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
151/350

星の囁き

 それ以上、つまりマイナス30度より過酷な世界に、僕はまだ遭遇したことがない。

 けれども、顔見知りの流刑囚の話によると、もっと寒い――およそマイナス50度ほどの――環境では、また違った世界が見聞きできるという。


 マイナス40度の段階で、収容所(グラーク)であっても屋外労働は中止される。

 いくら外に出そうと、凍えて作業にならないのが分かり切っているからだ。

 では、それ以下ともなるとどうか。


 人にもよるけど、まず、いくら防寒具を着ていても危険が分かる。

 吐息の水分は文字通り凍てつく。

 氷点下近くのような、白い霧ではない。

 もっと寒々とした、あられめいた白なのだとか。


 吸い込むごとに肺を痛めつける空気。

 一呼吸ごとに聞こえる、大気のきしみ。

 当地では、その音に星の囁きショーパット・ズビョストゥとの名前がつけられているとのこと。


 ――もっとも、これが決して素敵なだけの現象でないのは伝えておきたい。

 その面白さはあくまで、対比する余裕あってのもの。

 不可抗力で遭遇してしまったなら、凍傷で済めば相当に運がいいはずだ。

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