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五分五分
「……しょうがないわね」
肩をすくめ、不承不承の意を見せるジョゼファ。
一時休戦、と言ったところだろうか。
「これ以上は帰って来たら、ね。――ちゃんと、帰って来てね」
「もしどこかに飛ばされても、無事生き延びるよう努力するよ」
「努力するのは当たり前でしょ。私が言ってるのは、私の前にきちんと、てこと」
どういう事だろう。
今ひとつ、意味をはかりづらい。
「僕が帰って来ないかも……てこと?」
「ええ。今はどこであっても、あまりよろしい情勢じゃない。でしょう? それに、ユーリはいろいろ甘いから」
「……そうはっきり言われると、ちょっと自信がないね。でも、気を付けてはおくよ。……お休み」
「――お休みなさい」
僕は僕のできることをするしかない。
不安はある。わずかな昂揚も。
あるいは全て杞憂で、何事もないのかも知れない。
できれば、そうであって欲しいのだけど。
――ともあれ。
今日と言う日が、既に忘れがたい日なのは間違いなさそうだ。




