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留保
「なるほど、ね……」
簡潔に話を終えて。
どうにか納得してはもらえたようだ。
率直に言って、かなり落ち着く。
「でも、ジョゼファは大丈夫だよ」
このまま上手くいけば、ではあるけれど。
「流行り病は防いだから。もう、僕の時代の話とは一致してない」
「――その点に関しては、お礼を言わないとね」
「いや、そんなつもりじゃ……」
「でも、このまま上手く行くとは限らない――そうでしょう?」
何も言い返せない。
先程、火種から遠ざけようとしたのは、他ならぬ僕なのだから。
「う、うん……」
「安心して。シベリアにはたぶん行かない。ペテルブルクの賑やかさ、私は結構気に入ってるの――でもね、ユーリ。あなた、ここはここで、私が力を持つとは考えなかったの?」
僕は絶句する。
革命勢力との接触か、それとも宮廷の支配か。
滅茶苦茶だ、滅茶苦茶な二択だ。
「……本気で言ってるの?」
おそるおそる、僕は言う。
返答次第では、いろいろ考え直さないといけない。




