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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
144/350

手打

「そう、ね……」


「いや、本当に何でもいいよ。もう今さら、何を隠すこともないしね。ただ――」


 一呼吸置き、柱時計を少しだけ見る。

 午前2時まであと少し。

 暖炉のおかげで、決して寒くはない。

 けれどもそろそろ、寝ておきたくはある時間だ。


「少し急いだ方がいいかも知れないけどね」


 寝坊した挙げ句に住居へ踏み込まれるのは、さすがに勘弁して欲しい事態だった。

 言い出した約束の代価は高くつく。

 それがどんなに、一方的な状況下のものであっても。


「なら、今はひとつだけね」


 この率直さが、僕にはこわかった。

 何でもいい(・・・・・)との僕の言葉。

 そんな一見の自由に惑わされない、その端的さが。

 ……なのに、どうしてだろう、今の僕はどこか、心躍る思いを抱いてもいた。


「――ユーリはどうして、私をシベリアに行かせたくないの?」


 素晴らしい。そう今は思う。

 ひどく危険だ。そう思いつつも。

 それだけ無駄のない、完璧な質問のように僕は感じたのだ。

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