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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
141/350

有為転変

「まだ僕が行った方がいいよ。とりあえず、シベリアで何か課せられる訳じゃないんだよね? まあ僕のこの左腕で、無理なことさせられるとも考えづらいけど」


「――そう、なのかな」


「……僕としても、そこで言葉を濁されると困るよ」


 前提がひっくり返されるとなると、また考え直しになる。

 避けたいところではあるけど、とは言え不確定要素がまぎれるよりは遥かにいい。


「そうじゃないわ」


「また冗談なら――」


「今度は、真面目な話」


 その言葉に、ひとまず僕は黙る。

 そう前置きしてまで、彼女が冗談を言う理由はない。


「ユーリ。あなた、何を隠してるの?」


 不意の問いかけ。

 言葉にこもる、わずかな不信の色。


「ジョゼファ、いったい何を」


「それはこちらの台詞。この期に及んで、それは無いんじゃない?」


 僕は口ごもる。

 口ごもらざるを得ない。


「――そう言われても、具体的に言ってもらわないと分からないよ」


 ――君は後の血塗られた独裁者だ。

 ――少なくとも、その可能性がある人間だ。

 ――シベリアに行けば、その可能性が上がるかも知れない。


 面と向かって言えるほど、僕の心臓は強くない。

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