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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
14/350

予兆

“いろいろな人の行き来する場所”。

 島国に住んでいた僕にとって、この言い回しを察するのはむずかしい。


 ロシアを北に、トルコを南にする土地。

 カスピ海と黒海に挟まれ、コーカサスの山々を抱く地。

 19世紀末、ロシア帝国の一地方とされた今でも、その複雑さは失われてはいない。

 もちろん、僕がいた時代――20世紀も10年を過ぎ、四半世紀以上に渡る独立を保っている当時――でもそうだ。


 けれども僕は、今の今までその機微を察しかねていた。

 知識の問題でもなければ、たぶん想像力の問題ですらない。

 ひとときの旅ではなく、実際に暮らしてみなければ痛感できないことはあるのだろう。


“いろいろな人の行き来する場所”では、余所びとの持つ意味合いも違うのだ。

 余所びとが珍しくない、だからと言って融和と歓迎があるとは限らない。

 時と場合によっては、警戒が先立つこともあり得るのだ。

 ――ことに、戦争が終わり“次”のことがよぎる今となっては。

 彼女の持って回った言い回しは、つまりそう言うことではなかったか。

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