表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
135/350

凍土地帯

 けれども彼女の顔は、いっそう難しくなった。


「どうしたの?」


「――気付かない? それなりに人手を割いた、けれどもその場で捕まえないような事案」


 さすがに、官憲の事情はちょっと分からない。

 素直に僕は宣言する。


「降参」


「単純な誤解なら、それなりに手を回すこともできる。でも――政治犯となると」


「……あ……下手をするとシベリア行き、か……」


 静かに、彼女はうなずく。


 シベリア。

 凍土。流刑。労働。

 僕にとってシベリアの印象は、あまりいいものとは言いがたい。


「そう、か……」


 何もかもが、急に現実味を帯びてくる。

 もし、遠方に送られたとして。

 耐えきれないであれば、その先はないのだ。

 僕の野望(・・)も、そこまでと言うことになる。

 自然、僕の顔は険しくなる


「あ、そうね」


 何かを思いだしたように、彼女。


「ユーリ、今はまだ、そうじゃないわ」


「……シベリアは、シベリアだと思うけど」


 僕の知る環境が、数十年で寒冷化してのものとは考えづらい。

 何しろ、ロシア帝国自体からの流刑地なのだから。


「ええ。そうだけど、そうじゃないの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ