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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
134/350

相克

「――ついさっき、官憲に尋問されてね」


「連行はされなかった?」


「あの場では避けた、てだけだね……。一応明日、1日の昼過ぎに追って出頭、と言うことにはなってるけど」


 彼らの言い回しからして、僕の担当に人数が割かれている訳ではないだろう。

 少人数での、つまりそこまで重要と見なされていない捜査なら、あの反応もうなずける。


 仮に大人数での捜査ならどうか。

 その場合は多かれ少なかれ、個人の欲というものが出る。

 自分で手柄を、との欲が。

 手柄の保証が一切無い状態での一時放免は、いくら何でもあやうい。


 ――いや、手柄を逃すだけならまだいい。

 大人数ならば、他人を追い落とそうとする者まで出るかも知れない。

 いずれにしろ、手許の判断材料からは考えづらかった。


「いったん家に帰れたところを考えると、そこまで重要視されてる訳でもなければ、証拠(・・)が固まってる訳でもない、と思う」


 この証拠(・・)との言い回しに、彼女は別の意味を取ったようだった。


「ユーリ」


「……なに?」


「強盗? 殺人?」


 真顔で物騒なことを言う。


「……どれだけ信用がないのかな、僕」


「念のため、よ」


 これはさすがに、真っ向から否定せざるを得ない。


「幸い、そう言う犯罪をやったことはないし、身に覚えもないね」


 ――もっともこれは、“今のところ”なのかも知れないけれど。

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