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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
128/350

帰宅

 僕は家の玄関を開ける。

 ――ただいま。

 そう日本語で言いかけて、寸前で思い直す。


帰ったよ(ヤ・ドマ)


 言って僕は扉を閉める。

 外気が嘘のように暖かい。

 屋外でないならば、ロシアの冬は暖かい。


 すぐに迎えてくれたのは、無論彼女、ジョゼファだ。

 彼女の無事に、僕はひとまず安堵する。


「――何があったの?」


 そして相変わらず、話が早い。


「別に何も、て言ったら、怒るかな?」


「少なくとも、胴体の方はそうみたいね」


 彼女の視線は僕の両手に注がれている。

 握りしめた挙げ句、果汁で湿った両手に。


「……ごめん。みかん、何個かダメにしちゃった」


「そんなこと言ってる場合?」


 案じる口調だった。

 こう言うときは極力、素直になるに限る。


「心配かけちゃったかな」


「無事は無事みたいね。おかしいとは思ったけど、何があったの?」


「……一応、根拠を聞いてみていいかな」


 軽い嘆息とともに、返事が来る。


「帰って来る時間が、ね。仕事にしても、せいぜい日が変わる前には切り上げるはず、でも途中で店に寄ったにしては中途半端」


 普段の買い物が長い、と言外に指摘された気がする。

 そこはちょっと、今は放っておいて欲しいのだけど。

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