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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
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帰結

「ご忠告、痛み入ります。本当に撃たれないよう、気を付けることにしますよ」


 こればかりは本音だった。

 何も生き死にばかりの話じゃない。

 今以上に身体の不具合を補うのは、いろいろと難しい。

 負担は僕以外の誰か、すなわち彼女、ジョゼファに行くことだろう。

 僕としては、それだけは避けたかった。


「一応お訊きしますが、僕の行く場所は中央市場の隣ですね?」


「は、はい」


「あまり朝早くてもしょうがないでしょう。そうですね、今日の昼過ぎだ、これでいいですね?」


「え、ええ……」


「あとは、名乗ればそれで通じますか?」


 今度は、無言で(うなず)かれただけだった。

 いったん落ち着かせるべく、ひと息をつく。

 僕自身のためじゃない、主に相手のためだ。


「では、いったんお引き取り下さい。僕は今から、たいへん重要な任務があるんです――新年のサラダにシャンパンと対峙する任務がね。何か他には?」


「……いえ」


 その一言で、ほとんど片づいたと分かった。

 両脇の男も、特にいきり立つ様子もない。

 この場はこれで決着したと言っていい。


「なら、いったんお終いですね。では、また後ほど(・・・・・)


 みかん入りの紙袋を持ち直し、そのまま僕は歩き出す。


 慌てるように、二手に割れる三人組。

 その真ん中を、僕はゆっくり歩いていく。

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