帰結
「ご忠告、痛み入ります。本当に撃たれないよう、気を付けることにしますよ」
こればかりは本音だった。
何も生き死にばかりの話じゃない。
今以上に身体の不具合を補うのは、いろいろと難しい。
負担は僕以外の誰か、すなわち彼女、ジョゼファに行くことだろう。
僕としては、それだけは避けたかった。
「一応お訊きしますが、僕の行く場所は中央市場の隣ですね?」
「は、はい」
「あまり朝早くてもしょうがないでしょう。そうですね、今日の昼過ぎだ、これでいいですね?」
「え、ええ……」
「あとは、名乗ればそれで通じますか?」
今度は、無言で頷かれただけだった。
いったん落ち着かせるべく、ひと息をつく。
僕自身のためじゃない、主に相手のためだ。
「では、いったんお引き取り下さい。僕は今から、たいへん重要な任務があるんです――新年のサラダにシャンパンと対峙する任務がね。何か他には?」
「……いえ」
その一言で、ほとんど片づいたと分かった。
両脇の男も、特にいきり立つ様子もない。
この場はこれで決着したと言っていい。
「なら、いったんお終いですね。では、また後ほど」
みかん入りの紙袋を持ち直し、そのまま僕は歩き出す。
慌てるように、二手に割れる三人組。
その真ん中を、僕はゆっくり歩いていく。




