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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
122/350

証拠

 証拠(・・)もあり、居場所もつかまれている。

 ならば、この問いの意図は何か?

 おそらくは、容疑者が“協力的”か否か、だ。

 いくら職務に忠実でも、面倒は面倒にちがいないのだから。

 となると……質問を返した僕は、ほんの少しだけ失敗したかも知れない。


 それにしても、と僕は思う。

 この時代の尋問とは、いったいどう言うものなのだろう。


 取り調べる側は有罪を確信していて、当然証拠(・・)を知ってもいる。

 となると、密室の尋問でどう言うことが起こるか。

 繰り返される「本当はどうなんだ」「記憶違いじゃないのか」の果てに、容疑者は容疑を観念して認める(・・・・・・)

 証言(・・)はもちろん、事実(・・)と矛盾しないよう整えられている。

 そうして得られた自白は、とりもなおさず決定的な証拠(・・・・・・)となる。

 第三者が検証できない取り調べなど、しょせんはその程度のもの。


 ……つまるところ、尋問とは型通りの儀式でしかない。

 一度にらまれたら最後、と言うことだ。

 そして少なくとも僕は、無駄なことに労力を費やさない主義だ。

 たとえば、「話せば分かる式の説得」や「意地を残すための抵抗」と言ったことには。


 けれども。

 ここまで察していれば、少しだけ話は違う。

 素直に受け入れたなら、一時的かも知れないけど凄惨な事態は免れる。

 ルール内での妥協。僕の郷里で言うところの談合に近い。

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