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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1901年、サンクト・ペテルブルク
120/350

役割

「――おい、ふざけろよ」


 割って入ったのは右側の男だった。


「トボケるつもりかよ、お前、知ってるだろ」


「おいよせ、ホコリを叩くのが目的じゃない」


 止めに入る中央の男。

 左側の男は一言も話さない。

 ただ淡々と、こちらの方を注視している。


 ――なるほど、と僕は思う。

 役割分担程度には、分業が成されているのだろう。

 なだめ役に脅し役、それに監視役と言う訳だ。


 不意に僕は、この場にいない男を思い浮かべる。

 僕に恩義を貸し付け脅しすかし、そのまま去っていった男。


 あのときも今回も、どちらにしろロクでもない。

 けれども、比べれば今回は三人。

 足し算である腕力はともかく、話術の技量としては各人、あの男の三分の一未満だろう。

 そう考えると少しだけ、余裕のようなものも生まれてくる。


「そ、そう言われても……」


 まずは、フリから入ることにする。

 適度な怯えと若干の困惑。


 この手の男たちは、怯えも反抗も対処し慣れているはずだ。

 裏を返せばそれ以外、複雑な反応への対処はむずかしい。

 たとえば、怯えた態度を装う相手との、腹のさぐり合いといった局面には。

 職務への忠実と、忠実であるがゆえの融通のきかなさ。

 こちらにしてみればそれは、大いに付け入ることができる隙だ。

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