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受け答え
職務に忠実な人材は、いつの世も代えがたい。
私利から遠いとなれば、なおのことだ。
もっとも、お金となると分からないけど。
そこまで考えて、僕は苦笑する。
彼らとまた関わることが、いや、上に立つことがあり得るのだろうか。
僕としては、限りなく低いとしか思えなかった。
つまるところ、この思考もただの寄り道と言うことになる。
僕は大人しく、三人組に返事をかえす。
「――仰る通り、僕がユーリ、ユーリ・アリルーエワです。あなた方は?」
「あなたが、反動分子に関係があるって情報が寄せられてましてね」
どうやら、ここで答える気はないらしい。
けれども、これで答えたようなものだ、十中八九、官憲の類なのだろう。
これがこの三人ならではのやり方か、それとも彼ら全体の習性なのかは分からないけれど。
「外国で火花あげてる連中、ご存じでしょう」
何かの符帳だろうか。
正直なところ、意味不明だった。
なので僕は、素直にそう答えることにする。
「たぶん、何か別の意味があるのだと思いますが、率直に言って――」




