20世紀
鳴り止まない花火、鳴り始める聖堂の鐘の音。
銅製の鐘は僕の故郷のそれより大きく、はるかに低く重く響き渡っている。
日が変わり、20世紀が始まる。
僕がロシアで迎える、7度目の新年。
家路を急いでいた僕が何をしているのかと言うと、官憲の尋問を受けていた。
――官憲?
思わぬ直観に、その根拠を探す。
無個性な、目立たない三人組。
この日この時間にご苦労なことだ、と少しだけ思う。
ロクなことじゃないのは察しがつくけど、それを今言い出しても始まらない。
組織か宮廷か、それとも官憲か。
候補の内、宮廷は消してよさそうだ。
無意味な行儀を守ることにかけては、あそこの逸材は豊富だった。
街中は、いかにも人目につきすぎる。
組織。これについてはよく分からない。
街中での唐突な尋問。
いかにも乱暴ではあるけれど、一般市民と言っていい服装はそれに似つかわしくない。ひとまず保留。
となると、消去法と言うには微妙だけど、官憲だろうか。
目立たない服装にしても、地元の人員ならそれくらい、いくらでも都合がつく。
この場で分かるのは、せいぜいそれくらいだ。
……空腹に負け、僕はそれ以上の思考を放棄する。




