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ただしさ
血液型にはABOの4種類がある。
これはほとんど常識の範囲だ。
血液型は当初ABC式だった。
最初期にはAB型が発見されていなかった、と僕は知っている。
ここまではまだ何とかなる。
問題はここからだ。
今の時代、当然ながら個人個人の血液型は分からない。
世に知られていないものを知ることは出来ないのだから。
加えて、僕には血液型を確定させる方法が分からない。
違う型の血液と混ざると固まる。O型は固まらないので他の血液に輸血できる。
これくらいの理屈は分かるけど、誰がどの血液型かがまず分からない。
4種類の型を揃えるには多人数の血も必要だろう。
何をするとも知れない、血液を集めての実験――これはどう考えても、正気の沙汰ではない。
これを一介の人間が行うのはちょっと、いや相当に無理というものだ。
諸々を考えると、何とかして血液型の発見者――後のノーベル賞受賞者であるところの――ラントシュタイナー博士に協力を仰ぐしかないだろう。
この辺りは、わが宮廷の主治医、エフゲニー氏に協力を依頼した方がよさそうだ。




