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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
103/350

穏やかに

「ところでさ。一応、念のために聞きたいのだけど」


「内容にもよるけど、なに?」


「モスクワ、いや、僕のペテルブルク(ピーテル)行き、ジョゼファはついて来てくれるかな」


 相棒として、僕は彼女を必要としていた。

 20代後半の僕と、20を少し過ぎた彼女。

 お互い、信頼関係は築いていたと思う。


「――一応、念のために聞くけど」


 そう前置きして、彼女。


「結論から言うと構わない。でもそうなったら、この農園は売るつもり」


「え、お金のことなら別に――」


「――逃げ場が必要な人もいれば、そうでない人もいる。私の見る限り、ユーリはたぶん後者」


 沈黙。

 

 ロシアは寒い。

 ロシアの気候は、ほとんどの土地でワイン作りには適さない。

 となると彼女の作るワインは、もしかすると今夜が最後になるのかも知れない。

 僕のこれからの旅路に、それだけの価値はあるのだろうか。


 石のような沈黙。


 やがて僕は、答えを出した。


「……やっぱりそれでも、お願いしていいかな」

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