10/350
不意
ヨーグルトを食べ終え、一息つく。
彼女の方も、もうすぐ終わりそうだった。
スプーンを置き、彼女を待つことにする。
「“荷車はまだそこに止まっている”、ね」
「……?」
怪訝に思う僕へ、不意に彼女は問いかけて来た。
「ユーリ。あなた、どこから来たの?」
言葉に詰まる僕に、続けて彼女。
「私たち、いえ、私にとっては不思議でしかないの。あなたがいろいろ頑張ってるのも、悪い人でなさそうなのも伝わる。でも、いろいろ違和感があるの。あなたにとっても、そうか分からないけど」
1年と少し前。最初に会ったとき、僕が発した言葉だった。
なんて事はない。
うまく誤魔化したつもりで、最初から見て見ぬ振りをしてくれてた訳だ。
……いや、万が一、ひょっとしたらブラフの可能性もあるかも知れない。
あり得ることのない可能性にすがり、僕は言葉を返す。
「その違和感って何だろ? 何か誤解があるなら、言って欲しいのだけど」




