09. 入学試験!
今回も微妙に短めです。
「やっとついたー。もう馬車はこりごりだよ。」
「本当だねー。それでアキさんは?」
首都フランにつき、背筋を伸ばしているユキとアリア。馬車での移動は二人にとっては苦痛だったらしく、体のあちこちを伸ばしていた。
「私ならここにいるぞ!ここが首都か。いい町だな。」
「「いつの間に!?」」
「二人が馬車から降りたときに首都に着いたぞ。」
やはりあきれてものが言えなくなるアリアだが、流石にある程度は着いてくるだろうと思っていたユキの予想をも裏切るような速さだったことをここに記しておく。
「明後日に受けるはずだった試験を明日にしても大丈夫?」
「「私は大丈夫だぞ。アキ(ユキ)は大丈夫か?」」
「大丈夫そうだね。じゃあ学園側に伝えておくから今日は首都巡りでもしようか?」
こう言うわけで、私達は首都で入学に必要な物一式と洋服、何故かアキが欲しいと言っていたので巫女服、あとはそれぞれの好きなものを一緒に見ていくと言う流れになった。
夜…………
「ベットが偉大だー!」
馬車で移動していた頃は、テントの中で雑魚寝だったため、ベットのフカフカが心地よいのだ。アリアは一人でベットを占領し、ユキとアキで一つのベットを使っていたのだが、一人用に二人はキツイと考え、アキのサイズをちっちゃい子供とおんなじ位にしてユキが抱き抱え他状態で寝ると言う荒業にでた。
長旅で疲れていたのかアリアとユキの二人はすぐて寝しまったのだが、アキだけはユキの谷間に埋もれて窒息しないように何とか頑張っていたのだが、欲望に負け自ら埋もれに行きながら呼吸用の隙間をつくりアキの胸を堪能していた。本当ならばおんなじ顔の美少女がもう片方を抱き枕にすると言う状況になるはずなのだが、アキが幼子にしか見えないため誰が見ても仲の良い姉妹となってしまっている。しかもここでアキが何しようとも、見た目の観点から文句は言われないという、アキにとっては最高の環境になっていたのだった。
(主様の…………柔らかいのぅ、ぐふふ。これは良いからこれからもやろうかのぅ…………眠いから寝よう…………)
煩悩まみれのアキであったのだ。
翌朝
アリアにつれられてユキとアキは試験を受けに学園の武道場に行った。但し、昨日のことがユキにばれており、罰としてサイズを戻してもらえず、しかもユキにお姫様だっこされたまま町中を歩くと言う公開処刑みたいなものだった。
「ようこそいらっしゃいました。試験監督をするメンバー一同ここに揃っています。よろしくお願いしますね。」
「「よろしくお願いします。」」
挨拶が終わり、いよいよ試験を開始しようかと言うときに、一人の試験官がユキに向かって言った。
「九尾の狐と言われているのならば、本体を曝しなさい!」
この言葉に不快感を持ちつつユキは九尾状態に戻った。その瞬間上から柵が降りてきてユキを閉じ込めてしまったのだ。
「やったぞ!これで素材が手にはいる!これで研究が進むぞ!!!」
「ふむ、魔力分散を付与しておるのか。中々だが、お主ら忘れてはおらんよな?」
ユキがとらえられたというのに淡々と話続けていた。
「何を勘違いしているのかは知らぬが、この体が本当の姿であり本気を出せると言うのを知っての事だろうな?ならば、我もそれ相応の返答をしないといけないのぅ。アキ!アリアとそなたに防護結界の一番強いのをかけておくのじゃぞ。」
「ふん、貴様が気付いているその魔力分散の付与はそう簡単には破られんぞ。この国の一級魔術師がかけたからな!やれるもんならやってみろってんだよ。」
そう言われたユキはニヤリと笑いある言葉を紡ぎ始めた。
「エル ニトリニ エレメント ト ニ ガルニルニア。イル アニニルニ ルナ ヒヌリス。エルルニル ス タ カドニルソ。エンム ニ ソル 『アルト デ ムニルナ』!」
「ナニ!?古代精霊語だと!?今は使われていないはずなのに!何が起こるんだ!?」
困惑しきっているユキをかごに入れてしまった試験官は、その場を離れられず、他の試験官はこの計画すら知らなかったために、すぐに逃げていた。
「ねえアキ、あれどういう意味?」
「ふむ、懐かしいな。『私を守ってくださっている精霊の皆様にお願いがあります。私は今とらえられています。私の身を持ってあなた方の力を具現します。』まではわかるんだが、呪文の方は私も知らんのでなんだか分からん。」
古代精霊語とは、今はもう使える人がいない希少な言語であるが、使える人がいないと言うのはいささかおかしな話で、精霊たちは使えるので言い換えるなら使える人族がいないだけである。
また、何故ユキが使えたかと言うと、例の女神さんが、ユキが寝ているうちに少しずつ自らの知識をゆっくりとユキに流しているからである。
話は戻ってユキの周りには可視化した精霊たちが各々の魔力を纏って立っており、ユキ自体体が発光しており、かつ九つの尻尾それぞれが各魔法系統の色をしていた。
「さてと、準備は整ったしのぅ。お主はちとおいたが過ぎると思うのじゃがどうかのぅ?学園長様よ。こやつは生かすに値するのかのぅ?」
「命まではとらないでいただけたら、好きなだけ教育していただいて結構ですので。ここまで、この学校の精神を叩き込んできたのにそれを無駄にしたのですから、その痛みを心に刻んでおいて欲しいですね。」
「が、学園長!?私は…………私はッ!!」
次の言葉を言わせぬうちにユキが技を発動してしまう。
「さぁ、気を失うまで痛め付けられてもらうよ。『エレメント ヘイト』!」
「「「「「「「「「いっくよ!」」」」」」」」」
ユキの発動コードと共に精霊たちが己の支配する属性をふんだんに使うと言う精霊魔法なのだが、これはユキによって手が加えられており、まずユキがすべてを掌握するために、人では出せないような魔力を放出する。そのあとにユキが掌握したのを精霊が使うと言うものだ。この方が、効率が良くまたユキの思い通りに出来るのだ。
また、何故アリアを保護したかと言うと、高濃度の魔力になれてない人間を一瞬でもユキのような桁違いの高濃度の魔力に晒されると即時に反魔病と言う魔力を排出し終わるまでは、高熱と幻覚、そして頭痛と言った症状に襲われ、ひどい場合には死に至ると言った病気なのだ。だからユキは即座にアキに命じてアリアを保護したのだ。因みにアキは精霊であるから関係がないのだ。
戻ってユキはと言うと、先程の高い魔力放出で柵が粉々になり、本人はすべての尻尾が爛々と光を放った。
すぐあとに、原因の人間が土で作った檻に入れられ、周りには何やら猛毒を持ってそうなつた植物やどこから来たのかわからないマグマが垂れ流れてきたり、水はその外周を守っており、帯電した玉が辺りを飛び回っていると言った状況になっていた。
「「「「「「「「「終わったよー」」」」」」」」」
「よくやったのぅ。あとは好きにあやつを虐めて良いぞ。我はここから楽しんでおくからのぅ。」
結局面倒くさがりなユキは、あとの痛め付けを精霊たちに頼んで一人上から高みの見物をしていた。
「うぁーーー」
中では、猛毒の蔓が彼を叩き、その後にすべての毒を解毒はできず後遺症の残る程度の強さの解毒薬を持った蔓によって叩かれると言う繰り返しの中、帯電した玉が電撃を放ち痺れさせ、マグマと水の龍が辺りを飛び回りと、この世のものではないように見えた。
因みに何故このような過激なものになったかと言うと、ユキLOVEな精霊たちが先程の事に腹をたてたからというのが妥当な意見だと思う。
「ワシの所の若いのが、あなた様に悪いことをしてしまった。どうしたらよいのか…………」
「学生として過ごすのと同時に定期的に良い感じのお金になる収入源を紹介してほしいの。それができるなら気にしない。」
学園長は少し考えてから、
「それでは、この学園で精霊魔法を教えてくれぬか?今は使い手があまり居らず、カリキュラムに組み込めておらぬのじゃ。お金は学園で最高峰の料金を出すが。」
「決まり!それで良いよ。で、もし授業を受けるなら、中級魔法まで使える人を条件にしてほしい。それだけが条件。まぁ、アリアとアキは本人が受けたいんだったら許可してあげて。私のお願いはこれだけかな。」
こうして、ユキの入学試験は終わった。あれ、試験やったっけ?まぁ、良いだろう。あそこまで高度な精霊魔法を使っていたのなら。
「そういえばユキ、あれはどうするんだ?」
「あっ…………忘れてたわ、存在自体。ウーン。ねえあなたさ、もう私たちにこんなことしない?しないんだったら後遺症を治す薬あげるよ。あぁ、そう言えば声がでないんだったね。うなずくかすれば良いよ。」
「のぅ、ユキ。あれにはどんな後遺症があるんだ?」
「えっとね。聴覚以外の五感と声帯の硬直かな。それ以外は随時体がだるい位かな。」
この言葉を聞いた他の人たちは全員、ユキを怒らせたらいけない、と言う意見にたどり着き、誰一人としてそれをやるなと忠告したものはいなかった。
夜…………
ユキは余りに疲れていたため、一人だけ先に寝てしまった。
「ねぇ、アキさん。昨日の夜ユキさんに抱かれて寝てたよね?気持ちよかった?」
「ふむ、極楽だったぞ。アリアも今度は抱きついて寝たいのか?」
「うん。ちょっと羨ましかったから。じゃあお休みね。」
「おやすみな。」
こう言ってアリアはユキに抱きついて、アキはもう一つのベットで寝たはずだったのだが、朝起きると、ユキとアリアが抱きついており、どうやったのか小さくなったアキがその間に挟まれていたのだった。
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そう言えば、アキさん…………orz