08. 学園へ
今回は短いです
「主様よ!湯あみといこうぞ!」
アキが何だかノリノリだが、アリアちゃんにでもそそのかされたのかな?
「アキとアリアちゃんで行ってきたら?私あとにするから。」
「だーめ!ユキちゃん!絶対に三人で入るんだから!」
この世界にも、日本と同じお風呂という物があって、使い方までおんなじだった。だから、お風呂を普及しようとしていた私は複雑だった。
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!ギリヤさん、クリスさん助けてー!」
「「三人で楽しんでこい(らっしゃい)!」」
ずるずると引きずられて、逃げる暇もなくアキに捕まってアリアちゃんに服を剥ぎ取られてお風呂に叩き込まれた。
「ふむ、そう言えば主様よ。自分のからだの変化には気づいておらぬか?」
そう言えば女神さんが言ってたような…………
「どんなことが変化したのかよくわからないよ。アキはわかるの?」
「では主様用に[秘術全面鏡張り]」
「なに?その微妙な術は…………」
あたりが曇りはじめて、変に光沢が出始めて光を反射するようになり本物の鏡と全く同じような物ができてきた。だが、四面でなく六面にしようというアキの考えがユキに伝わり上下の二面は破壊されてしまいアキが落ち込んでいた。
実はこれ、アキが他の精霊に手伝ってもらい、その精霊は全ての元素を司っており、演出アキ、実演元素精霊というキャストで行っていた。
「ん?今の魔力、アキのじゃないね?アリアちゃんでもないし、誰?」
まぁ、ユキには筒抜けです。この辺をアキは忘れており、今回のミス?みたいなことをやってしまう、学習能力の低い子に育っていくのは今後のこと。
「えっ…………?な、なんのことかのぅ?それよか、主様よ、早く姿を確認したらどうじゃ?」
「釈然としないけど、後で問い詰めるからね。…………ねぇ、アキ、アリアちゃん。私ってここまで白かったっけ?」
前にも伝えたが、ユキは進化によって全身が白くなり、目は色々と色が変わるという状態になっている。また、この事を知っているのは、アキとアリアだけであり、先ほどギリヤとクリスが動揺していなかったのは、ふたりともお茶をしていて、ユキの方を見ていなかったからだ。
「主様、それは進化と言うものでの。多分種族が変わっているはずじゃ。」
そう言われてユキは種族を確認してみることにした。
ユキ (天狐族・半人間状態)
となっていた。
「天狐族って…………」
「ふむ、やはりか。主様の体の色からしてそうかと思ったのだが、当たりだったようじゃな。あと、そのもふもふはしまえないのかのぅ?」
「ごめんね。これ、一週間このままみたい。だからむやみやたらにモフりにこないでね。」
「「無理な質問だね!」」
「そこでハモるなー!」
と、ユキの進化がわかったので、今度はユキがアキに問い詰める番になった。
「ところでアキ、さっきのを教えてくれても良いよね?」
「主様、顔が怖いのじゃ。そうじゃな………… たしか主様は魔眼が使えたのぅ。魔眼で精霊視を選択するのじゃ。」
「えーっと、魔眼発動、精霊視!」
そういった瞬間にユキの周りに小さな羽のある女の子が飛び回ったり、ユキに抱き付いていたりと言う光景が見えた。
「ねぇ、アキ。」
「なんじゃ…………?」
「こんなかわいい子達ぜーんぶ精霊!?」
「そうじゃな。これでわかってくれたかのぅ?」
「わかったけど、アキにはこんなことを隠していたんだから罰が必要ね。うーん…………言葉使い…………」
ポツリとこぼしたユキの言葉に異常反応し始めたらアキ。
「主様、言葉だけはやめてくだされ!ことばだけはのぅ!」
「だーめ!かわいい女の子っぽいしゃべり方に強制的に変えるからね!」
「アリア!何とかしてくれんかのぅ。」
「こんなときだけ頼ってさ、それ以外じゃ空気になってたんだから。アキさんもそれぐらいの辛さを知るべきだよ!」
「四面楚歌じゃ…………」
「はい、決定!と言うわけで、アキの言葉使いを変えまーす!それじゃあレッスン1!自分のことを私と言いましょう!プラス私のことを主様じゃなくてユキと呼んでね!」
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風呂場でガヤガヤとあれこれ決めて出てきた。
ひとつ目はアキの言葉使いの矯正。ソッコーで方をつけにいくよ!
二つ目は私を好いてくれている精霊のうち上位の子達に体をつくってあげようかなーと言うこと。
最後に、私が旅立つのは六年後の卒業式と言うことになった。
最後のは、アリアがユキとアキと一緒に首都にあるフランクス国立学園に入学して学び卒業後までは、一緒に居てもらいたいと言われたからだ。これにはユキもアキも大賛成で分からない国のことや常識諸々が分かるとなれば反対する理由がない。
この二日後、私達は首都のフランに向けて出発した。丁度入学手続きが始まったらしく、また今年丁度町の教会学校を卒業したので、規定に引っ掛かることなく入れるようになったのだ。ユキたちはというと裏口らしく、学校長と理事長に本当の姿を見せて技術面の試験でのみ入学が可能になったのだ。
その間は、アキは頑張って言葉使いを直しているのだが、ちぐはぐになってしまったりとするところでユキに笑われており、完全に身に付けるまでに時間がかかりそうだ。
それに対して、ユキは自分の要望に合う精霊と契約して、体を作り与えると言うことを繰り返してきた。しかし彼らは滅多に与えられた体を使おうとはせず、これを見たユキが落ち込んでしまったのだが、精霊いわく『初めて貰った大切なものだから、大切に使うときを見極めて使いたい』と言うことだったので、ユキも気を取り戻していた。
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国立学園では…………
九尾の狐であり、かつ天狐族の少女が入学したいと言う報告を受け、半信半疑ながらもしなくてはいけないことなので、その準備に追われていた。
「天狐族など最早絶滅してしまった種族の一つではなかったのか?」
「分からぬが、準備だけは万端にしておいて損はないだろう。嘘であれ本当であれ、我々は学びたいと言う心を阻害してはならないのです。」
「例の少女をのせた馬車は後二日ほどでフランに到着すると言う報告を受けました。それで、一日首都巡りをした後入学試験を受けるそうです。」
「わかった。では3日後までに、入学試験用の物を準備しておきましょう。では、解散!」
こちらもこちらであたふたしていた。
変わって馬車の中のユキたちは…………
「ちょっ!そこっ…………モフっ…………モフしないでっ!」
「アリア、ここがもさもさしてていいぞ!」
「アキさんもここ、良いですよ!」
暇に身を任せたアリアとアキがユキの尻尾や耳をモフモフしていて、そこが弱いユキは悲鳴をあげていた。
「もうこれ以上するなら、二人とは話さないよ!」
「むぅ」
「それは困る」
そう言って離れて行った。何故なのか、アキとアリアはそりが合うのか二人で良く悪ふざけをしたりしていた。
「前方にC級モンスター発見。ガーディアンゴーレムです。どうしますか?」
「アキ、今回は私が行くね。ちょっと試したい技もあるし。」
そう言ってユキは外へ出ていった。ガーディアンゴーレムは全長3メートルで、打撃系の攻撃を主に使うモンスターだ。
ユキが右手を横に出したかと思うと、ノーライフキングと戦ったときに使った、魔力の剣が出てきた。が、それはユキの手に現れたのではなく、敵の周りに百を超えるような量のそれが刃をガーディアンゴーレムに向けてユキの合図を待っていた。
ユキが手を振り落とした瞬間に数の暴力がガーディアンゴーレムを襲う。光が辺りを包み、その光が落ち着いたときには跡形も無くなっていた。
「ふぅ。こんなものかな。あまり威力を上げなかったにしてもこれぐらいならば瞬殺か。」
「ほう、これはすごいのぅっ…………」
「アキさんドンマイ。今度はなんだろうね?」
アキは言葉使いを直すために、昔のような話し方をしたら罰ゲームが待っている。これは毎回ユキが設定するのだが、たまに鬼畜の所業とでも言うような物もあった。例えば村の外周を百周とか(村の外周一周で五キロ位)や、ユキの新技の実験台(アキは傷ついてもユキが魔力を与えればたちどころに治る)等だが、アキは平気だったしユキもイラついてやっているのではなく、反省できるレベルでかつアキの限界に近いものを選択するとこうなるのだ。
「今回は二回ミスったから、これから目的地まで馬車と並走ね!頑張ってー」
これも同意の上でだ。これを見ていたアリアはと言うとこの二人のスペックって…………と嘆いていた。
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