03. 町に入れない?
「ほら、着いたぞ。此処が俺がすんでいる町だ。」
そう言われてみてみると、周りが壁で囲まれた町らしきものが見えた。
「ここが、コロニトと言う町だ。で、入るためには身元確認をしなければならないのだが……」
失念していた。身元を明かせるようなものが何一つないのだ。どうしようかとウンウン唸っていたら、にこやかに笑いながら
「そんなに困らなくても大丈夫だよ。身元の証明を俺がして、身分証を発行すればいいのだから。」
と言われた。
かなりいい忘れていたことになるが、この時のユキは既に人形で、この強面のおじさんにぶつかったときにはそうなっていたのである。
「わかった。それと、私にはあまり記憶がなくて…… なにも答えられないんだが……」
「大丈夫だ。名前さえわかればな。それと、記憶がないんだったら色々と調べなければいけないことがあるが……またあとでだな。」
と言われて、なんとでもなれと思いながら門をくぐった。
「やぁ、ギリヤさん。さっき出ていったばっかりなのにどうしたんだ?」
名前を聞くのを忘れていたが、この強面のおじさんは、ギリヤさんと言う名前らしい。
「それなんだが、子供を保護してな……記憶がないらしくてな。うちに同年代の娘がいるから一緒に暮らすかって、聞いたら頷いたからつれてきたって訳だ。」
「そうですか。では、身分証を発行しなければなりませんね。では、え~っと……」
そう言えば、私の方も名前をなのっていませんでしたね。
「ユキと言います。よろしくお願いします。」
「はい、ユキさん。では、身分証の発行を行うので、この金属板に1滴血をたらしてもらってもいいですか?」
えっと。どういうことだろうか?困惑しているとギリヤさんが、
「案ずるより産むが易しと言うだろ。針で1滴ポタッとやれば終わりだし、すぐ治してやるから。」
言われるがまま、1滴垂らすと、金属板の表面にぱーっと文字が浮かんできた。
ユキ
種族 妖狐族
魔力量 Error
と出てきた。……何かアカン気がする……
『忘れてた!貴女のいる国は大丈夫だけど人族主義国家があるから、そこに行くときは多分貴女の力なら人族に変えられるはずだから忘れないようにね。』
ああ、そういうことか。
「お嬢ちゃん……妖狐族なのか……」
「ギリヤさん、森に帰った方がいいかな?」
と聞くと、焦ったようにギリヤさんが、
「そんなことはない。ただ、驚いてしまってな。確か絶滅の危機にあった種族だからな。本物が見れてビックリしてるんだよ。」
と、何か動物園の動物みたいなことを言われましたよ。
てか、魔力量がエラーってどういうこと?って悩んでいた。すると
『あかんわ。物忘れ最近激しいよー。えっとね、ユキの魔力は普通の人の200倍あると考えていいよ。私が直々に手を下したんだもの。そのくらいな……ブツッ』
あの神様のせいでしたか……なら問だ……いあるわ!
「えっと。この魔力量はどういうことだ?今まで一度もエラーになったことが無いんだが……」
この質問に説明しているのに時間がかかり、気が付いたら日が傾いていた。
ユキ「この世界に来て初めてのこんなに話したわ。(早く暖まりたい)」
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