6話 TODO:防具屋というものに行ってみる
GW、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
旅行とかも良いですよねー。
だがしかし、私は子供達と自宅ではしゃいだり、ポケモンカードゲームで遊ぶ日々です。平日より疲れます(体力的な意味で)(;´д`)。
街に戻ってきたショースケは、依頼結果の報告と魔石の換金を行う為、冒険者ギルドに戻ってきた。勿論、ショースケの対応をする受付嬢は、エリナさん(推定年齢50歳位)である。
「――採ってきた薬草は問題ないね。それと、この魔石は……あんた凄いねぇ、流石、私が目を掛けただけはあるよ。」
「え? これがどうかしたんですか?」
「あぁ、魔者ってやつはね、魔石の色によって強さが変わってくるんだ。ここの冒険者ランクの色分けと同じになっていて、白が一番弱い。
白ランクだったら、まぁ農具持ってる連中が束になって掛かれば、何とか倒せるようなレベルだね。
そして、今まで発見されている一番強いと言われているのが、金ランクだよ。もう、金ランクになると、災害級だって言われているよ。」
「さ、災害ですか……。
あぁー、じゃあ、俺が倒したやつは……。」
「そういう事。青で、結構大き目の魔石だから、冒険者登録したばかりのひよっ子が1人で仕留めるには、とてもじゃないけど無理だよ。
……とはいっても、私が見た所、ショースケさんの腕だったら……紫レベルでも何とか倒せるんじゃないかい?」
「え!? 本当ですか? 俺、訓練とはいえ、エリナさんにボコボコにされて、結構自身無くしてたんですけど……。」
「あら、そうだったのかい? でもまぁ、そういう事だから自信を持ちなよ……とはいっても、過信は駄目だよ。」
「はい、気をつけます。」
厳しいながらも、自分の事を気にかけてくれる心優しさ感じてしまい、エリナの話を素直に聞いてしまうショースケだった。
「そういえば、換金だったね……この魔石は、350,000オロの価値になる。
「えっ!? そんなにですかっ?」
「そうだよ。青ランクの魔石には、それだけの価値があるって事さ。」
そんな事を聞いてしまうと、それ以上のランクの魔者の魔石には、どの位の価値があるのだろうか? と考え込んでしまうショースケだった。
「――ショースケさん? どうしたんだい?」
「あぁ、すいません。あまりにも凄い金額だったんで、ボーっとしてました。」
「そういえば、記憶が無かったんだったっけね。まぁ、こういうもんだって覚えておけばいいじゃないか。
それじゃ、支払いを済ませようかね……回復薬用の薬草が30株あるね。薬草採取の依頼分と合わせて353,000オロの支払いだよ。」
「はい、ありがとうございます。」
そう言って、エリナから金版と金貨の入った布袋を受け取り、自分の持っている財布袋の方に移し変えて、布袋を返しながらショースケは尋ねた。
「ところで、エリナさん。とりあえず、懐も暖かくなったし、武器……いや、先に防具とか見てみたいんですけど、そういうお店ってどこにあるんでしょうか?」
ショースケはお金を稼ぐ手段については、一先ず目処がついたと思った。
次に考えた事は、この世界の武器や防具の事だった。この世界に迷い込んだ時点で、鎖帷子や、大脇差などの装備は持っていたが、自分が習った古武術で戦うには、少々動きが制限されてしまうのだ。
その為、防御力があって、動きが余り制限されない防具が欲しいと思っていたので、実際にお店を訪ねて色々と見てみたいと考えたのだった。
そこで、元黒ランクのやり手冒険者でもあったエリナであれば、良い店を知っているのではと思い、尋ねてみる事にしたのだ。
「あぁ、それなら、ここから西の地区は宿や、武器や防具を取り扱う店、雑貨を取り扱う店などが集まっている区画だよ。そこに行けば、暇をもてあます事も無いと思うよ。」
「へぇー、そうなんですか……ちなみに、エリナさんお勧めの防具のお店はありますか?」
「まぁ、あるにはあるけどさ……そうだね、ショースケさんになら、良い所を紹介してあげようかね。
パイクがやってる店がお勧めだね。」
「パイクさん、ですか?」
「あぁ、あそこなら、ショースケさんも気に入ると思うよ。場所はね……。」
エリナにお勧めの防具店を教えてもらい、ショースケはギルドを出た。その時、丁度良く、腹の虫が「ぐぅ」と鳴ったのだった。
(そういえば、朝にサンドイッチ食っただけだし、腹減ったなぁ……今って、もう昼過ぎぐらいかなぁ?)
朝早くから仕事に取り掛かりはしたが、時間は既に昼食のピークタイムを過ぎた辺りであった。いくら比較的、街から近い場所での薬草採取の仕事とはいえ、この位の時間が掛かってしまうのはしょうがなかった。
そして、ここは大通りともなる場所である。簡単な料理を売る屋台などが多く並び、この時間でも良い匂いを醸し出していた。
朝食から何も口にしていないショースケの腹の虫が鳴るのも、当然の事だった。
「あぁー、いい匂いするなー。
……よし! 店に行く前に、この世界の屋台を堪能しよう!」
ショースケは、串焼肉と、野菜と固まりの肉を削ぎ落とした物を、クレープのような皮に包んだドネルケバブのような料理、ケブチェというものを買う事にした。
「……おぉー、ジューシーで美味いわぁ。それにケブチェっていうのも、タレがピリッとして、これも美味い!」
こうして、屋台の食べ物を堪能しながら、エリナに教えてもらった店に向かうのだった。
「あー、あった。ここかぁ……はぁー、やっと見つけた。」
目的の場所は、大通りから少し外れた場所にあった。まるで、一見の客からは隠れるように、ひっそりとその店は構えられていた。
―― 盾の行商人 ――
金属で出来た、円形の盾に書かれた店の名前。どうやら、ここがエリナがお勧めする防具の店という事だった。
「それにしても、何でこんな場所に店を構えてるんだ? やっぱ、あれか? 頑固なドワーフの爺さんが、「気に食わねぇ奴には作らん!」とか言っちゃうやつなのか?」
「そんな事無いわよ?」
「ひゃい!?」
ぶつぶつと独り言ちていたショースケは、急に掛けられた声に驚き、変な声を出してしまった。
ふと振り向いてみると、そこには見目麗しい女性が立っていた。背はショースケよりもやや高く、まるでモデルのような体系のように見える。しかし、容姿とは別に、その姿は炭のようなもので薄汚れた服に、腰のベルトにはハンマーなどがぶら下がっていた。
「それで? あなたが、ウチの店に用があるっていうショースケ君かな?」
「え? まぁ、そうですけど……何で、俺の名前を?」
「エリナから聞いたのよ、君の事をね。」
「エリナさん……ですか?」
「そう。ギルドから結構良い魔石が入ったっていう連絡を受けてね、それで、その魔石を見に行ってたのよ。そこで、君の事をエリナから聞いたってワケ。
それにしても、エリナがウチを紹介するなんて、かなり気に入られているんだねー、ショースケ君。」
「はぁ、そうなんでしょうか……って事は、あなたがパイクさんですか?」
「えぇ、パイナーク・カルーセンよ。パイクって呼んで頂戴。」
「はい、よろしくお願いします。」
そう言って、パイクは右手をスッと差し出してきたので、ショースケは握手をして挨拶を返した。
パイクが経営する「盾の行商人」という店は、オーニキスで一番の腕を持つと言われる程度の防具店であり、常連の者の紹介が無いような一見の客は相手にしていないという店だった。
だが、それはパイク本人が頑固とか、気難しいという訳では無く、ただ単に人見知りが激しいだけで、急に見知らぬ人が店に入ってくると隠れてしまうので、一見の客は買い物が出来ないどころか、店主さえも見た事がない……という理由なのは、エリナと数少ない馴染みの者しか知らなかった。
「こんな所で立ち話も何だから、お店へどうぞ。」
「あ、はい。失礼します……。」
パイクの案内で、2人は店の中へ入っていった。