表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/39

プロローグ TODO:異世界に迷い込んでみる

初作品となります。

よろしくお願い致します。

4月10日(金曜日) PM 10:15


 角の内ツインタワー

 そこは、1階から6階まで商業施設が入っている30階建ての複合型のオフィスで、最近の都内ではよく見るビルである。

 そのオフィスのとあるフロアでは、「カチャカチャカチャ」と小気味よい音が聞こえてくる。この時間まで残業しているのは疎らではあるが……。


「おっけー、とりあえず、こいつのデバッグ完了! 今日はこれで終わり、終わりー!」

「あ、お疲れ様です、先輩。私も丁度終わりましたー!」

「おぅ、お疲れさん――って、もう22時じゃねーか。明日は休みだし、さっさと帰ろうぜ。うし、今週末は溜まってたゲームを消化するぞー。」

「あはは……家に籠るのはいいですけど、たまには外に出ないと干からびちゃいますよ? あ、私、週末は予定空いてるから、ご飯とかご馳走してくれてもいいんですよ?」

「聞こえなーい。じゃ、お先にー。」

「あ! もう!!」


 彼の名前は、田中 彰介(タナカ ショウスケ)

 27歳の男性で、職業は開発系のシステムエンジニアをやっている。容姿は中の上であり、体型は細見ではあるが、それなりに筋肉がついていて、結構しまっている、いわゆる細マッチョというやつである。

 女性関係もそれなりにあった、普通のサラリーマンだ。


(女性関係って、1年前に振られたっつーの。仕事で忙しかったから、しばらく会えなかったら、他の男とよろしくされてたとか、情けない…)


 とは、彰介の心の声であった。


 で、リア充っぽく、いちゃこらとやっているように見えた相手は、会社の後輩の飯沼 由里(イイヌマ ユリ)、25歳。

 幼馴染のようなものだったが、なぜか今では同じ部署で一緒に働いている。身長は160cm位で、出るところは出ていて、引っ込むところはしっかりと引っ込んでいる綺麗系の女性である。

 男性陣からの人気は高いようだが、先程の会話の通り、発言がちょっと子供っぽく、見た目とのギャップが激しいのが玉に瑕の……ちょっとまぁ、残念な娘なのである。


 彰介は適当な相槌を打って会社を出る事にした。

 電車に乗り、自宅へ帰る。いつもの道、変わり映えのない毎日。


「毎日、毎日、デスクワークっていうのもしんどいよなぁ――」


 彰介は、誰に話しかけるわけでもなく、ただ独りごつ。


「とりあえずコンビニでも寄って、メシを買うか……」


 と、自宅近くのコンビニに入った。


「らっしゃっせー」


 コンビニに入ると、若干気怠そうな店員の挨拶を受ける。こんな時間だから、しょうがないのかもしれない。

 陳列されている商品棚を見ても、やはり時間的な問題か、商品は少なめようである。その中から、小さ目の焼飯弁当を手に取り、冷蔵棚からは発泡酒を取り出してレジに向かう。


「495円になりまーす。」

「えーっと――(細かいのが、200円しかないや)じゃ、1,000円で。」

「505円のお釣りになりまーす。ありやとやしたー。」

(来週の給料日まで、残金は――5万3千7百と、5円か。多少余裕があるから、貯金でもしておこうかなぁ……)


 彰介は、なかなかの堅実化である。この若さで、貯金もそれなりにあるのだ。


(まぁ、使う機会が無いってだけだけどね……さてと、着いた、着いた!)


 彰介は、都内にある6F建ての賃貸マンションで、1人暮らしをしている。

 部屋の広さは、1LDKで、バス・トイレが別々となっているし、洗濯機も室内に置くスペースが設けられている。それでいて、家賃は5万円という優良物件である。

 彰介は、階段で2階へ上がり、自宅前で鍵を取り出した。


4月10日(金曜日) PM 11:59


ピッ、ポーン……

ガチャ


「ただいまーっと――」


 いつもの癖で、誰もいない自分の部屋に向かって挨拶をする。返事が返ってくるわけでもないのに、だ……。


「いらっしゃいませーっ!!」

(……………へ? いらっしゃいませ?)


 返ってくるはずだった沈黙は、女性の明るい掛け声によってかき消された。

 声の返ってきた方を見てみると、髪形をポニーテールにした、かわいいお姉さんが視界に入った。

 その女性は、なかなか良いスタイルをしている。恰好は白いシャツに七分丈のデニム地っぽいパンツ姿であり、更にかわいいエプロンを着けて、忙しそうに食事を運んでいる。

 ただ、今まで見てきた現実と違う箇所があった。


(ふっかふかの猫耳と尻尾がついとる……)


 あくまで、彰介の見た目の感想であって、実際触ったわけではない。

 他に気付いたのは、この場所は結構な広さで、いくつかの丸いテーブルとカウンターテーブルが置いてある。

 カウンターテーブルの奥には、また結構広めキッチンがあるようだ。


 そして、いかつい野郎共がカウンターテーブルとテーブルを囲み、食事や酒を楽しんでいた。格好は今まで見慣れてきたスーツ姿というわけでなく、頑丈そうな皮の鎧に身体を包んだ者、鉄でできたような鎧を身にまとっている者など様々である。

 そして、どうにも気になってしまうのは、ムサい男達の中にも猫耳やら犬耳、果てはウサギ耳のおっさんがいるのは、どういう事だろうか?


(俺、自分の家に帰ってきたはずなんですけど? 一体、ここはどこなんだろうか? それにしても、ウサミミのマッチョのおっさんって、一体誰が得するんだろう……?)


 それにしても、ここは一体どこなのだろうか? 自宅の扉を開けただけなのに、なぜこのような光景が見えるのだろうか?

 普段通りであれば、狭い玄関を上がると、8畳程度のLDKがあって、引き戸を開けると6畳程度のベッドルームがあるはずである。


 しかし、そんなものは今は一切、見る影もなかった。


(っていうか、この光景はゲームでしか見たこと無いぞ。どう見てもファンタジーなRPGゲームの酒場でしかねーよ。)


「お客さん、そんな所で突っ立ってると邪魔だよー!」

「あ、あぁ、悪い……」


 そばを通ったウェイトレスを避けようとして、彰介は2、3歩程、後退すると、「ジャラッ」という音が聞こえた。


(はぃ? ジャラ?)


 自分の姿を見てみると、それは見慣れない姿だった。朝は、会社に行くためにスーツ姿で出かけ、そして帰ってきたはずだったのに、何故か上半身は長袖のインナーの上に鎖帷子を身に着けている。

 そしてパンツは、丈夫そうな革製のパンツとブーツだった。


「え?」


「え? ……何これ?」


-----------------------------


 やっと見つけた。

 本当に……本当にとても長い時間、君を待っていたんだ。


 - ようこそ、異世界(ジュエル・ワールド)へ -


-----------------------------


内容を修正しました。

(2015年4月20日修正)

 大学からの後輩で、なぜか同じ部署で一緒に働いている。

→幼馴染のようなものだったが、なぜか今では同じ部署で一緒に働いている。


(2015年5月11日修正)

章介→彰介

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新しい連載も始めました。
こちらも、ぜひご閲覧いただければ幸いです。

勇者人形となりて異世界を巡る
http://ncode.syosetu.com/n2846cx/
よろしくお願いしますm(_ _)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ