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神様のおとしもの  作者: You
2/3

神サマ

駆け上がってきた凛はすこし慌てた様子で隆の部屋のドアをあけた


「お兄ちゃん!!ルシアのライブDVDと新作のアルバム届いた!?」


ルシア。

いまとても人気があるロックバンドだ。

バラードからロック、はたまたメタルまでこなす実力派バンド。

ルシアときけばあのバンド!となるほど一世を風靡(ふうび)している


「とどいたぜ!!兄ちゃんも凛が帰ってきてから開けようとおもってさ!とっといたんだ!」


「うわぁー!!お兄ちゃんありがと!!

大好き!!!あ、お金はちゃんと半分はらうからねっ!ねぇねぇ!早く開けようよ!」


凛はすこし…いや、だいぶ興奮している様子だった。


「おうおう!ちょっとまてよー?ダンボールは兄ちゃんが開けるな!危ないから!」


「わかったから早くあけようよっ!」


凛はもう待ちきれない様子だった。

なにせこのライブDVDとアルバムは発売初日に全国で完売。ネットでもDVDやアルバムがプレスされるのには時間がかかるということで予約待ちになっていたのだ。

そのDVDとアルバムが1ヶ月まった今、ようやく手に入ったんだからそれは喜ぶだろう。


隆は引き出しからカッターナイフを取り出し丁寧に箱のガムテープを切っていった。


ガガガッシュー


気持ちよくガムテープが切れて箱を開けた瞬間


【矢野 隆 18歳 男 エントリー完了しました。これよりチュートリアルに入ります。】


「えっ」


隆は凛を見た。

凛にもどうやら聞こえたようで2人とも頭にはクエッションマークだ。


でもそれは突然の出来事だった。


さっきまで勉強していた机、ランプそしていつも寝ているベット。テレビ。

隆の部屋にあるものがすべてデジタル化するように薄れていき最後には真っ暗になった。


真っ暗になった瞬間、物凄い風が2人をおそう。

風が暗闇を吹き飛ばし辺りが鮮明にみえだした

するとそこは隆の家の前だった。


「えっ…俺ら…部屋の中に…いた…よな…」


「うん…ルシアのライブDVD開けようとしてた…」


2人は戸惑い焦ったがしばらく経つと冷静さを取り戻した2人。


「へ、変な夢だなー!さ、さて…部屋にはいるかな!寒いしな!」


「そ、そうだねー!お兄ちゃんの部屋でDVDみないとだもんね!!」


苦笑いをしながら2人とも家の中へ入ろうとする。


「ハイハーイ!ストップデス!」


!?


玄関のドアノブには青色の小さな人…いや羽が生えたよう人…妖精のようなものが腰掛けていた。


「うわっ!」


隆は驚きのあまり尻もちをついた。

尻もちを本当についたのなんて何年ぶりだっただろうか…


すぐ後ろにいた凛もその勢いで尻もち。


「いったぁーい!お兄ちゃんどうしたのよ!いきなりこけるなんて!早く家にはい…ろう…よ…えっ!?」


凛も妖精の存在に気づく。


「お、お、お、お兄ちゃん!よ、妖精だよ!?えっ…私夢みてるの?」


「ぜんぜんユメなんかじゃないデスヨー!」


また妖精が喋り出す。


「デモ、おっかしいナー。1匹だけなはずなのニ…なんで2匹も人間ガ…?」


妖精もわからないことがあるらしくぶつくさと独り言を喋っている。

隆と凛は開いた口がふさがらない状態だった。


「り、凛…兄ちゃんのほっぺたつねってく…いててててて!!本気すぎ!」


「お兄ちゃんが痛いってことは夢…ではない…?」


「いや、確かにつねってとはいったけどあんな本気でつねることはないだろ!?ヒリヒリする…」


まるで漫才でもやっている気分だった。


「マァいいデス!これからチュートリアルをはじめますヨ!ワタシも初めて説明するのでどうぞお手柔らかニ…!」


妖精はすっと立ち上がりスカートのハジとハジをもってぺこりとおじぎした。


「マァ、といってもワタシが本当に説明するわけではないからいいんですけどネ!それではいっきますヨー!」


妖精の両腕に青白い光が集まってきてそこそこ大きくなったとおもったらその青白い光を上へと放った。

放たれた光は隆、凛、妖精をつつみこんだ。


「ア、言い忘れてましたケドワタシの名前はルリといいマース!よろしくお願いするデース!」


その妖精の言葉を認識した直後に隆と凛は地面に立っている感覚を失った。

雲の上のような場所で遠くには人影が。

でも逆光でその顔はおろか着ている服すらも目視できない。だがなぜだか眩しくはなく、その方向をじっと見つめられる



「あ、あ、あーマイクはいってる??

あ、はいってる?え、もう回してんの!?

ちょ、まって!!神っぽくするから!!」


若い青年の声が聞こえてきた。

すると突然威厳のある重く低い声へと変貌した。


「我の名は…神…唯一無二の絶対神である。


!?

隆と凛はさらに戸惑った。

神様!?神様がいるのか!?


「あ、神様ー最初のマイクはいってる?のくだりぜんぶ入っちゃってますからもうアウトですよーキャラ作ってもダメです。」


「えっ!?なんだよー…

神っぽくしようとおもったのにさー」


先ほどの重く低い声とは打って変わってさっきの青年の声へともどった。


「ごめんねー!なんか僕の周りの天使たちが水を差しちゃってー…でもまぁ、気にしないで!えーっと今から説明するねー」


神と名乗る青年のような声の男は当たり前のように会話を続けようとした。


「いやいやいや!ちょっと待ってください!あ、あなた神様なんですか!?これはどういうことなんですか!!」


「あーもう。今から説明するって言ったでしょ!焦っちゃダメだよ!ってあれ?2人いるじゃーん!だめじゃん!ルリ!部外者を入れたらさー!」


「わ、私はおに…隆の妹です!」


「まぁ部外者ってわけでもないかー…君には権利は与えられないけど話聞いてく?聞いてくならいてもいいし聞かないんなら今すぐ元いたところに帰すけど…」


「き、ききます!!」


凛は強く返事をした。


「ん、わかったんじゃはじめるねー」


すると神と名乗る男は話し始めた。


「君達はこれまでなにか不思議な体験をした事はあるかい?たとえば…片付けていた物がその場からなくなったり…そこに置いたはずのない物がおいてあったり…友達が急に変貌したり…喧嘩、いざこざ、悪口…だいたいぜんぶそうなんだけどコトワリという悪魔の仕業なんだ。」


「コトワリ…??」


隆と凛は声をそろえて言った。


「そう。コトワリ。もともと僕は人間をそーゆー事がないように作ったんだ。もともとそーゆー風にできてる。でもね、世界って光があれば影がある。一体なんだよ。光だけだと世界のバランスが崩れてしまう。そこで影であるコトワリも作った。」


「えっ…神様がコトワリも作ったんですか!?ならばいざこざが起きないように作った人間って意味がないんじゃないですか?」


隆はすこし食ってかかるモノの言い方をした。


「そうおもうじゃん?でもね、コトワリに取り憑かれるもしくはコトワリが周りにいる人間は心がすごく…そうすごく弱いんだ。強い人がいれば弱い人もいる。さっき説明したよね?バランスなんだよ。でもこの世界を率いてくれるような心の強い人間も生まれるわけで、彼らに世界を引っ張って導いてもらおうと僕は考えたんだ」


「そ、それなら総理大臣とかはコトワリの影響をうけなかった人なんですか…?」


凛がおそるおそる口をあけた。


「そうなるはず…だったというわけさ。

でも僕が思ってた以上にコトワリは賢くなってしまってね。世界のバランスが崩れてきたんだ。そこで僕は考えた。人間にコトワリを駆除させればバランスは崩れずにコトワリを排除できると。」


「神様が鉄拳制裁を加えるのはだめなんですか…?」


凛は続いて質問ぶつけた。


「いってるじゃないか、それだとバランスが崩れる。同じ箱の中に光と影をつくるのが僕の仕事。でもその箱の中で光が侵食しようが闇が侵食しようが関係ない。でももともとその箱の中にある質量を変化させてしまったら?

箱はバランスを失って崩壊する。」


「なるほど…」


隆と凛はとても深く頷いた。

そして横を見てみると妖精?のルリが退屈そうに水色の髪の毛をいじっていた。


「そして矢野 隆君!君にはそのコトワリを除去するという大事な大事な任務を与えることにするのだよ!」


「えっ!?な、なんで俺なんですか!?」


「それはね、まだ言えないんだ。ゴメンよ。

そして選ばれたのは君だけじゃないんだ。この地球にいる100人の人間にその役目を負わせて戦ってもらっている!その1人に選ばれたってことだよ!」


「俺の知らないところで色んな人が…戦っていた…?」


「そーゆーことになるね。でもねただただ倒すだけじゃ、面白くない!そうおもった僕はね!ランキングをつけることにしたんだ!」


「ら、ランキング!?」


「そう!倒したコトワリの強さに応じてポイントがつくんだよ!そしてそのポイントが1位になった人に!なんと!この世界をあげちゃおーって寸法さ!よーするに神になれるってことだよ!」


「えっ!?神に…なれ…る!?

で、でもそんなことしていいんですか!?神様はこのバランスが崩れないように俺たちにコトワリ…?というとを倒させてそれで次の神様って…」


「僕もね、何万年と見守ってきたんだけど地球は発展してもう僕の助けを必要としなくなったんだ。最後のコトワリの問題を除いてね…だからそのコトワリという元凶を1番倒した人が次の神様!シンプルイズベスト!」


神様はドヤ顔で言い放った。

隆も凛も思考が半分以上停止してしまっていていまだに追いつけていなかった。


「隆君。君は見たところ完璧な光だ。争いを好まず平和に暮らしたいと思っている。でもね、コトワリ討伐をするということはより一層コトワリと近くなる…取り憑かれやすくしてしまうんだよ…何が言いたいかというとね、コトワリ討伐をしている者の中には悪人もいるってことなんだ…コトワリに取り憑かれてしまった。」


「そ、その人たちはどうなるんですか!?」


「残念ながらコトワリが周りにいるのとは訳が違ってね、その人の心を食い尽くしてコトワリがその身体、その人の主導権を握るということになるんだ」


「な、ならばそのコトワリに取り憑かれた人はランキングから除外すれば…」


「ランキングは100人までって決まっている…というか決めちゃったのさ。いったよね?僕は闇が侵食しようと光が侵食しようとかまわないと。でも人間のことは好きだからね。すこし助け舟をだした。そんな風におもってくれて構わないよ。それでコトワリにこの世界を渡してしまったら世界の主導権が人間からコトワリへとシフトするだけ。それだけなんだ。」


「それだけって…勝手なっ!!」


「そのための助け舟。君だってことだよ。」



隆はふと視線をさげて考えた。

今まで考えたことないくらい考えた。

そして一つの結論にいたった。


「俺が…神になればいいんですよね?コトワリに侵食されずに…」


「そーゆーことっ!理解がはやいねー!

人類の運命は君にかかってるよー!

あ、あとスタートは平等にしたくてね!

君達の時間概念でいくと今から一ヶ月後。

ポイントは0に戻されまた戦いがはじまる。それまで訓練するなりなんなりして待っといてよ!

おっと、そろそろ時間だ!ルリ!戦い方は後で教えてあげてね!僕は仕事に戻るよ!次の世界を創造してる最中なんだ!んじゃね!」


なんとも軽いノリでものすごい事を言った神様。

隆と凛はすごいスピードで神様のいる空の上のようなところから一気に家の玄関先までもどされた。

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