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幸運の一万円札

 高校の授業が終わり通学路としてつかっている街の通りを市ヶ谷良平は歩いていた。


 商業ビルが二棟、その周辺には小奇麗な飲食店や事業ビルが乱立していて街並みだけみれば現代的だが、ガラス窓から覗ける店内は閑古鳥が鳴いている。


 三年前まではこの街も笑顔があふれた温かみのあるところだったのに、現在はその影もない。



 年々街の空気は重く冷たくなっていると市ヶ谷は感じていた。店員、客、通行人もどこか暗い表情をしていて、近年の大不況を実感するしかなかった。



 貧相な時代に生まれて、薄っぺらな財布をつかっていると金とはつくづく縁のない人生なのだと思ってしまうことがある。いくら財布の中身を確認してもあるのはわずかな小銭だけだ。ほしいものも買えやしない。昼休みに学校の購買でパンすらひとつも買えなかったのはなんだか笑えてしまう。


 金ほしさにバイトをしようにも、両親が営んでいる倒産寸前の店の手伝いをしなければ本当に倒産してしまう。



 年中無給で働き時間を費やす。



 ふと周りをみてみると自分のものが何もなかった。



 金も勉も友人も何も残っていなかった。



 娯楽は罪だと言われているこのご時世だ。きっと自分と似たような生活を送っている人も多いだろうし不運だと諦めがつく。


 唯一の趣味は読書をすることだった。図書館で借りればお金はかからず、そこら中に本屋はあるから気軽に立ち読みができる。


 店の手伝いまであと少し時間がある。今日も本屋に立ち寄った。並べられている雑誌の中でふと目にはいったのが「リーマン・シスターズ破綻の真相!」だった。


 三年前のことをまだ追っかけている記者がいるとは驚きだ。



 この手の記事はごまんと出ていたが、騒がれていたのは最初の一年間だけ。


 だからなのか久しぶりに見るリーマン・シスターズ破綻の真相という見出しに思わず手が伸びた。



 大抵どこも似たり寄ったりで数千億の超多額の負債を抱えて倒産や内部による不正が明るみに出る前に倒産だというが、この雑誌には今までとは違うことが書いてあった。



 ここ数年で飛躍的な成長をみせている株式会社ビバリーヒルズが裏で糸を引いていたのではないのかというのだ。その根拠としてビバリーヒルズの役員がリーマン・シスターズの内部にいたことが判明したかららしい。



 とうとう陰謀論まで出てくるほどの企業にビバリーヒルズはなったのだと市ヶ谷は感嘆した。難癖つけられるのはいわゆる有名税みたいなものだ。




  株式会社ビバリーヒルズ。



 百年に一度の大恐慌と揶揄される経済状況の中で最も躍進した会社。


 異例の早さで3年前に東証一部に上場を果たした。



 テレビでもその名はよく出ているが、もともと何の会社か市ヶ谷は分からない。音楽、IT、投資機関、飲食、土地貸、出版、電子機器、医療、薬品。これはあくまでも数例で金儲けできるなら無限に拡大していく。しかもどの事業でも多大な成果を上げている。


 その背景には世界中から様々な分野の才能のある者たちが集まってアイデアを出し合い、手段を選ばず従来のシステムを破壊しては自分たちの都合のいいように再構築する。


 不況に苦しむ大企業が多い中このように快進撃を続け、ベンチャー企業からここまで成り上がったのはまさに下剋上だ。


 彼らの手によって潰されたところも数多くハイエナと罵る者までいるが、若者にとっては希望の象徴だった。




 雑誌の記事を読み終わると、なにやら外が騒がしくなった。




 悲鳴なのか歓喜の叫びなのかよくわからないがとにかく普段なら活気のない町がお祭り騒ぎになっていた。まさかこんな田舎で殺人事件でも起きたのか。そんなのは小説の中だけにしてほしい。物騒な事件だったならあまり関りたくないけども無性に気になってしまった。



 雑誌をもとの場所にしまい、立ち位置から少し移動して窓越しに外を見る。もう夕暮れになっていて景色は仄かに赤い。そんな中で大量に何かが降っていた。



 雪ではないし、雨でもない。



 ひらひらと桜の花びらように舞い落ちている。



 遠目ながらそれは紙のようなものだとわかった。



 まだ全容を掴めていないのにもかかわらずなぜか市ヶ谷は高揚していた。胸の鼓動が跳ね上がって冷静ではいられないなかで、なぜか世界経済が崩壊した日のことを思い出していた。



 テレビをつけると毎日のように大人たちが慌てふためいていた。当時の拙い自分は「何かが起ころうとしている! 始まろうとしている!」と面白がっていたのだ。でもそれは違っていてあれはすべての終わりだった。後になってから事の深刻さに気が付いて、あの時楽しんでいたのをずっと後悔していた。そんな過去が面白がろうとしている自分を必死に抑え込み、落ち着いて事態を把握しようとした。



 店内の人たちも気づいたらしく店員までもが我先にと外に駆けていく。結局、本屋にいるのは市ヶ谷だけになり、遅れながらゆっくりと開けっ放しの出入り口を通る。



 異様な光景だった。


 自動車を道路に止めたまま運転手たちは飛び出している。遠くの方でクラクションが鳴り響く。ある人は天を見上げて万歳をし、ある人は地に跪き、神様でも讃えているようだ。


 風に乗って紙が市ヶ谷の足元に落ち、それをみてすべてを理解した。


 足元に落ちていたのは金だった。


 小銭ではない。


 千円札でもない。


 福沢諭吉が描かれた一万円札だった。


 市ヶ谷は落ちていた一万円札を拾う。


 これで何ができる。ありすぎて考えがまとまらない。できないことが考えられないくらい自分にとっては大金だ。それが簡単に手に入ったと思うと嬉しさよりも戸惑いの方が強かった。握りしめながら空を見上げた。この金は一体どこから現れているのかと流れをたどってみるとすぐ傍のビルから大量にばらまかれていた。


 夕暮れと金に紛れてビルの屋上に微かなに人影が目に映った。


 誰だろう。


 どうやったらこんなことが……。


 目の前の金よりもその人物にひどく興味を惹かれた。


 乱れ狂う人ごみを掻き分けて急いで向かいのビルに入った。


 この騒動でだれも市ヶ谷を止める者はいなかった。警備の人すら金に目が眩んで懐に忍ばせている最中だ。エレベーターに乗り込み最上階のボタンを押す。昇る間、お金からどんどん遠のいていくのがわかった。


 そのうちエレベーターが止まり最上階についた。


 屋上への階段を昇り鍵のかかっていないドアを開けると夢の世界にいるのかと錯覚してしまった。風で紙幣が宙に舞って目の前の景色は遮られ、力尽き落ちたので地面もほとんどみえない。酔いしれていると突風が吹き荒れた。

視界が次第に鮮明になっていく。


 想像と不釣り合いな若い女性が一人、屋上の淵で佇んでいた。傍らには旅行にでも行けそうな黒いバッグが置いてあり、塊の紙幣が見え隠れしている。

ドアが風に押されて閉まり、彼女は振り向いた。


 絵に描いたような美女だった。


 綺麗すぎて市ヶ谷の視線は奪われてしまった。周囲に万札が散らばっているが、わずかな欲でさえもなくなってしまう。どうでもよくなってしまうほど彼女には絶対的な雰囲気があった。


「どうしてここに来ることができるの?」


 彼女は動揺しながらそう言った。


「どうしてって、あなたが一万円札をばら撒いているから出入り口に警備もいなかったし、鍵も開いていたからここに来るのは簡単でしたよ」


「そうじゃない。君はいいの? 下の連中のように欲に任せて紙切れを拾わなくて」


 紙切れという言葉に市ヶ谷は驚いた。生きるためにわずかなお金を稼いで、身を切られるようにお金を遣う。貯めこんで貯めこんで、結局死ぬまで遣わない人だっている。小さな人たちとしか面識のない市ヶ谷にとって彼女の一見愚かな行為はとても新鮮で心を強く打たれた。


 出会ったばかりの彼女をとても羨ましく思ってしまった。


 自分も彼女のようになりたいと憧れてしまった。


「お金なんかどうでもいいんです。どうせすぐ遣いはたして貧乏人に逆戻りですよ。それよりもいったい誰がこんなことをしでかしているのか知りたかったんだ」


「こっちにきて」


 彼女の蠱惑的な誘いにつられて自然と足が動いた。落ちている一万円札を踏みつけて前を進むと、いい大人たちがゴミをあさるカラスのように群がっているのが見えた。


「君はこの光景を見てどう思う?」


 彼女は下にいる人たちに冷めた視線を送る。


「これが金の力なんだなと思います」


「下にいる連中をみてどう思う?」


「楽しそうだし本当に人間らしく生きていると思います」


「人間らしく……ね」


 彼女は神妙な顔つきをした。


 そして市ヶ谷に訊く。


「じゃあ、ここにいる君はなんなの?」


「なんだろう」


 彼女に言われるまで自分が何者なのかなんて考えたことがなかった。

真価を問うためどこまでやれるのかなんて試しもせず、意思もなく流されるままに退屈な人生を送ってきたのだ。だけれどなにもやってこなかったという拙い経験が一層、自分の正体に靄をかけてくる。


 ただ、少なくとも上に昇った自分と下にいる人たちとでは決定的に異なるはずだ。いや、彼女に軽蔑の目を向けられた下の人達とは違うと願いたいだけだった。


「自分のことなのに分からないのね」


「すいません」


「謝らないで。私でも君のことはよく知らないんだもの。でも下の連中のことは手を取るようにわかる。連中はきっとこう思っているはずよ。ここにいてラッキーってね。自分の実力ではなんでもない。単に私が捨てたおこぼれを拾っているに過ぎないのに愉快にしている。だから私はあの連中が醜くて愚かだと思うの。でもまさか、私のところにこられる人がいるとは思わなかった。しかも、冴えなさそうな高校生くんがねえ」


 と言って彼女はどこにでもいそうな高校生の市ヶ谷をまじまじと見つめる。


「少し君のことが気になったわ。君の財布の中にはいくら入っているの?」


「え? どういうことですか?」


「初対面の人にはまず資産をいうのが礼儀でしょ? 貯金は無さそうだし財布の中の話をしているの」


「資産は……136円ですよ」


 増えたりしないのに財布事情はいつも確認しているからすぐに答えられた。


「へえ、これじゃあないほうがましね」


「僕にとっては貴重な136円です。だいたい、初対面の人には資産ではなくて名前を聞くのが礼儀なんじゃないですか?」


「私たちの世界じゃあ名前や顔よりもまず資産や身なりを見るわ。着ているスーツの値段、靴は磨かれているか、カードの色なんかもね。そして、一緒にいて得をするとわかったその時にやっと名前を聞くのよ。それにしても本当に貧乏なのね。でも手にある一万円は数えないの?」


「これはちゃんとあなたに返しますよ」


 握りすぎてしわくちゃになった一万円札を市ヶ谷は彼女に差し出した。


「いらないわよ。捨てたものだし受け取って」


 やはり金を金として認識していないようで冷やかな目からは金に対する嫌悪を市ヶ谷は感じた。


「じゃあもらっておこうかな」


 甘えようとしたわけではなく見捨てられたこの一万円が彼女の元まで導いてくれたのだから大切にとっておこう。恩人に等しい存在だ。


 薄っぺらな財布に一万円をいれると心も満たされた。


「ねえ、私の奴隷にならない? 一つ命令を聞けば、そのたびに百万円の報酬をあげるわよ」


 突然の彼女の申し出に市ヶ谷は呆けた。


「ひゃ、ひゃくまんえん?」


 声が裏返ってしまった。恥ずかしさを紛らわすために、咳をして仕切りなおす。


 幻想的な空間にいるけども金銭感覚はしっかりと残っている。何千万、何億っていう金がすぐ目の前に、手の届くところにあってそれに比べれば百万なんて誤差みたいなものだ。でも誤差と言えることができるのは彼女であって自分ではない。


 勘違いをしてはだめだ。


 きっと騙されている。


 甘い罠だ。


 手にあるものを《あげる》と言って、相手が頂戴と言ったら高く《上げる》。相手の苛立つ反応をみて楽しむのと彼女は同じことをしているんだろう。


 そうでなかったら辻褄が合わなくなる。


 自分は金に縁が皆無といってもいい。


 ここで大金を手にするなんて、今まで積み上げてきた貧乏人生の破綻だ。


「どうしたの? 承諾してくれるでしょ?」


「冗談はよしてくださいよ。夢をこれ以上みさせないでください。僕は貧しい生活をしてきたんだ。万札を捨ててしまうあなたじゃあ分からないでしょう。それが一つの命令で百万円? いきなり世界が劇的に変わるなんて、これはもう誰がどう考えてもむちゃくちゃだ」


 自分の意見を言うなんて苦手なことをしたからだろうか変な間が流れた。


 彼女は何度か瞬きをするくらいで口を動かそうとはしない。


 堪らずに市ヶ谷からまた話し出した。


「あなたがいる世界と、僕がいる世界は違い過ぎる。こんな僕を傍に置いたところで無意味ですよ」


 十分断ったからもう帰ろう。彼女には夢のような時間をくれて感謝している。多分これが自分の人生の絶頂になるんだ。そして、またいつもと同じ道に戻ろう。今日はたまたま外れてしまったけれど、こういうことがあるから人生が楽しいと思える。


 わずかに体の向きを反転させると、閉ざしていた彼女がやっと何かを囁いた。よく聞き取れなくて立ち止まったまま「なんて言ったんですか?」と聞いてしまった。


「なんでもないわ」


 と満足げに彼女はくすりと笑った。


「気になるじゃないですか」


 また変な雰囲気が漂う。


 帰ろうと決意したはずなのにどうしてまだ会話をしようとしてしまっているのだろうと市ヶ谷は疑問をもたずにはいられなかった。


「私は別に君が過去に何をしてきたか、何の成果を上げてきたかなんてどうでもいいの。興味があるのはここにいる君なのよ?」


「ここにいる僕?」


 そういえば《ここにいる君》と彼女はわりと呼んでくるとは思っていた。確かに下にいる人たちと異なると思うが、ここにただ立っているだけで何かを果たしたのか。屋上にいるだけの無知な自分になんの価値があるというんだ。


「お金儲けをするのに一番大切なのはなんだと思う?」


 と、戸惑っている市ヶ谷をみかねて彼女は訊いてきた。


「アイデア? いや資金力ですかね? お金がなければ何もできないし」


「君にとってはアイデアもお金も正解ね。でもある程度の資金を手にすると資金力ではなくなってくる。私はね、最も必要なのは最善のタイミングだと思うの。そして君はこのタイミングでこの場所にいて、千載一遇のチャンスをものにできる位置にまでいる」


「過大評価しすぎですよ」


「いいえ、むしろ低いくらいよ。低いうちに君が欲しい」


 真摯に訴えてくる彼女の姿に、市ヶ谷の心は激しく揺れていっそこの運気の流れに乗ってみたくなってしまった。先の見えない大航海に好奇心と恐怖が入り混ざって、この瞬間なら何でもできそうな錯覚に陥った。騙されているという危機感は頭の片隅にはあるけども、どうにでもなれと自暴自棄になっている。冷静さは置いてきぼりだった。


「試してみる? じゃあ命令をするわね。今何時何分なのか教えなさい」


「5時3分」


 腕時計を見て告げると、彼女は下に置かれてある黒いバックから札束を取り出した。


「はい、百万円」


 ぽんと札束が掌に置かれる。


「次の命令ね。ワンと吠えなさい」


「わ、ワン」


 市ヶ谷が弱弱しく吠えると、彼女はよく笑った。そしてさっきと同じく無造作に札束を市ヶ谷に渡したのだった。


「ちょっと待ってください。お金っていうのはもっと汗水たらして稼ぐものなんじゃないですか」


「大丈夫よ。私はそんなに優しくないから。次の命令はね、持っている札束を下に投げ捨てなさい。貧乏人どもに恵みの雨を与えるのよ」


「え?」


 残酷な命令を聞いてしまって体が固まり、ますます札束を強く握ってしまった。


「どうしたの? 何をためらっているの? 私の命令がきけないの? それもそうよね。わたしにとっては紙切れでも、君にとっては大金なんだもの。自分からむざむざ捨てるなんてできるはずがないものね」


「せかさないでください。二つ質問していいですか?」


「いいわよ」


「このお金は僕のものでいいんですね?」


「もちろんよ。好きに遣っていいし現金だから税金もかからない。正真正銘君のお金」


「もし投げ捨てなかったら僕を見放しますか?」


「するかもしれないし、しないかもしれない。それは私の気分しだい。だけれど、命令を放棄するなら私はもう命令はしない。もうあうこともないかも。いいえ、断言する。会わない。きっと私はこの紙切れと同様に捨ててしまうわ」

優しいなと思ってしまった。


 彼女の返答に知りたかったことが全て詰まっていたからだ。何かが吹っ切れたように束を解いて宙に投げ捨てた。金の雨を降らせている。下にいる民衆の歓喜がさらに大きくなって神様のように支持されているのだと考えると爽快でたまらなかった。


 まだまだ彼女とは距離が遠いのだけれど、一つ階段を昇れて近づいたような気がした。


「君の名前は?」


「市ヶ谷良平です」


 彼女はおもむろにペンで札束に何かを書いた。


「市ヶ谷君、もし本当に奴隷になる覚悟があるならこの喫茶店にきなさい。私の行きつけなの」


 札束をばらまいた報酬として札束を手渡し、表面には福澤諭吉に重なるように日時、住所、そして「メイプル」と喫茶店が明記されていた。


 彼女はバッグに入っている残りの金に見向きもせず、そのまま帰ろうと踵を返した。


「待ってください。あの、あなたは何者なんですか!」


「私? 言ってなかったかしら? ……ねえ、市ヶ谷君はビバリーヒルズって知っている?」


「ビバリーヒルズ? それはどっちのビバリーヒルズですか?」


 咄嗟に頭に浮かんだのは二つだった。


 高級住宅街が建ち並び、買い物は値引きが一切ないスーパーとブランド店、道路にはスポーツカーしかはしっておらず軽自動車は逆に目立ってしまう。それがカルフォルニア州ロサンゼルス郡にある金持ちだけが集まる都市ビバリーヒルズ。


 そしてもう一つは株式会社ビバリーヒルズだった。


「どうやら二つのビバリーヒルズを知っているようね。私は株式会社ビバリーヒルズ、元代表取締役の桂木ユズリ。桂木さんと呼んで」


「代表取締役?」


 そういって桂木は呆けている市ヶ谷を残してスタスタと何事もなかったかのように帰ってしまった。



 現在の市ヶ谷の資産は百万とわずかな小銭。



 そして、桂木ユズリと引き合わせてくれたしわくちゃの一万円札。

 





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