青春は夕立のように
〇カフェ店内
店員A「お待たせしました、アイスカフェオレのお客様」
恵里「私です」
店員A「ブラックコーヒーのお客様」
この葉、机に突っ伏す
この葉「はい」
店員A「ご注文は以上でお揃いですか?」
恵里「大丈夫です」
店員A「ごゆっくりどうぞ」
しばらく黙って飲み物を飲む
恵里「で、こんなあっつい日にどうしてカフェに寄ろうなんて言い始めたの?」
この葉「私だってそんな気分の日くらいあります」
恵里「嘘、だって帰りたがりのこのがお店に寄るなんて言い出すなんて雪でも降り出すんじゃない?」
恵里、窓の外見上げる
この葉、頬杖をつきながら
この葉「そんな奇跡みたいな言い方しなくてもいいじゃん、まぁ何もないのは嘘だけどさ」
恵里「なになに、好きな人でもできたの?」
この葉、背もたれに大きく寄りかかる
この葉「…恵里はこういうときの勘はいいんだよなぁ」
恵里、机をたたいて立ち上がる
恵里「えっ!ホントに?!告白千人切りのあのこのが?!」
この葉、口に人差し指をあてて周りをきょろきょろしながら
この葉「ちょっと声大きいって!千人は切ってないし、誰そんな変な名前つけるの」
恵里、無表情に
恵里「私」
この葉「(ため息をつきながら)恵里…」
恵里「そんなことはどうでもいいの、何誰?!まさか今まで告白してきた中にいるの?!」
この葉「さすがにそれはないよ」
この葉、コーヒーを飲む
恵里「で、誰なの!?」
恵里、コーヒーを飲む
この葉「ちょっと当ててみてよ」
恵里「なにそれー、えーまずこのに告白してきた人は除外でしょー、それって同級生?」
この葉「(少し嫌そうに)…そうだね」
恵里「となると、それだけでだいぶ絞られるよね」
この葉「なんか嫌な詰められ方だなぁ」
恵里「同じクラス?」
この葉「違う」
恵里「えー、誰よー、教えてよー!」
この葉、少しあきれながら
この葉「考える気ある?じゃあヒント隣のクラス」
恵里「うぇ!私のクラスじゃん!最後!部活は?」
この葉「それ言ったらわかっちゃうから言わない」
恵里「てことはー、このに告白してなくて、部活を絞るとわかっちゃうやつだからー…」
この葉「ていうかなんで恵里が私に告白してきた人たちを知ってるの?!」
恵里「多分ほぼ全員私に相談来てる」
この葉「…なんかごめん」
恵里「私の好きな人がその中に入ってないから気にしてないって」
この葉、机をたたいて立ち上がる
この葉「うえっ!?恵里の好きな人なんて聞いてないけど!」
恵里「え?言ってなかったっけ?」
この葉「聞いてない!てかずーっとそんな人いないなぁとか言ってたじゃん!」
恵里「あれ?そうだっけ?…そんなことより今はこのの話でしょ」
この葉、少しうなだれる
この葉「…逃げられないか」
恵里「そもそも誘ったのこのでしょ!」
この葉「いや、いざとなるとなんか急に恥ずかしくなるでしょ」
恵里、この葉に手のひらを向けて
恵里「ちょっと待って、さっきまでの話思い出すから、待ってて」
この葉、コーヒーを飲みながら
この葉「そのまま忘れなよ」
しばらく沈黙
恵里「尚樹!」
この葉「違うねぇ」
恵里「えー…(しばらく考える)まさか夏樹?」
この葉、静かにうなずく
恵里、両手で口を隠す
恵里「えっ!嘘でしょ!」
この葉「そんなに驚く?」
恵里、黙りながら何度かうなずく
恵里「(小さい声で)うん」
この葉「…え、まさか恵里の好きな人って…」
恵里、黙って一度だけうなずく
恵里「(小さい声で)そう」
この葉「うそでしょ!え…なんか、ごめん」
恵里「このが謝ることじゃないでしょ、別に私も付き合ってるわけじゃないからさ」
この葉「そうかもしれないけど…恵里はもっと前から好きだったんでしょ?」
恵里、ストローで飲み物かき混ぜる
恵里「まぁそうだけど…」
この葉「それなら私応援するよ!なんたって私は千人切りですから!」
恵里「でも、そんなのこのにも悪いよ」
この葉「それを聞いて思い返せば一緒に買い物行ったりとかしたときの恵里の行動の意味がわかったよ、ていうか千人切り否定して?」
恵里「でも…」
この葉、ストローを恵里にむけて
この葉「もう!なんでこんな時だけ女っぽくなるの!いつもの恵里ならやってやる!ぐらい言うでしょ!」
恵里「でも相手がこのだから…」
この葉「私は告白しない、それでいいじゃん、さっきまでの話は全部嘘でしたってことで、ね?」
恵里「…このー」
恵里、机を越えてこの葉に抱きつこうとする
この葉、恵里を両手で制止する
この葉「そうと決まれば作戦会議!今どんな感じなの?」
恵里、スマホを見ながら
恵里「悪くないと…思いたい」
この葉「そりゃそうでしょ、連絡とか取ってないの」
恵里、ぎこちない笑顔で
恵里「学校でなんかあったときは少しするけど、続かないんだよね」
この葉「うーん…クラスで話したりはしないの?」
恵里「たまにあるけど大体男子でかたまってるからあんまりかな」
この葉「うーん」
二人、考え込むように黙る
カフェの外で夕立
この葉「げっ、めっちゃ降ってきた!傘ないのに」
恵里「私も傘ないよー」
二人、外を行きかう人たちを見ながら
恵里「このがカフェ行こうとか言うからだよ」
この葉「でも私の相談は無効になったけどね」
恵里「あ、ごめん」
この葉「もういいってば…あっ!恵里!」
恵里「何?」
この葉「外!外!」
夏樹、外を走ってこっちへ向かう
この葉「恵里!夏樹店に入ってくるんじゃない?!」
恵里「え、あ、このまま帰るかもしれないじゃん」
この葉「わかんないじゃん!」
夏樹、足を止めて振り返る
恵里「なんか後ろ見てるよ」
この葉「なんか落としたんじゃない?」
夏樹、しばらく動かない
恵里「なんか待ってない?」
この葉「どうせ同じ部活の同級生かなんかでしょ」
優姫、傘を持って姿を現す
二人「えっ、優姫!?」
夏樹、優姫の傘に入る
恵里「まさか優姫と付き合ってるの?」
この葉「(少し早口で)いや、まだわからない優姫が一方的に好きで夏樹はそれに付き合わされて困っているかもしれない」
優姫、夏樹と手を繋いで笑いながら遠ざかる
恵里「確定だわ」
この葉「確定だね」
二人、飲み物を最後まで飲む
恵里「今日なんでカフェ来たんだっけ!」
この葉「夕立の予報が出たから?」
恵里「そういえばそうだったかも」
この葉「今日は放課後カフェでだべってコーヒー飲んだだけってことで」
二人「帰ろっか」




