65.トリノス
まず私たちが一時的に拠点として使った丘に登ります。
亡くなった戦士を埋めるために少し高くなった丘の頂上で祈りを捧げ、先へ進みます。
丘を越えて小さな森の中の道とは言い難いような道を歩きます。
森を越えた先には大きな道がありました。
トリノ公国首都、トリノスに続く街道です。
街道に出たところで空は暗くなっていたので今日はそこで野宿をします。
「セーラさんも剣使えたんだね」
「当たり前だ。短いのしか使えないがな」
「それでも十分じゃん」
「そうだよ。俺よりは長いの使ってんだし」
「アルのはそういう剣だろ!」
森、山を越える上で逃れられないのは魔物との戦闘です。
私は持ち前の攻撃魔法に加えて【物体を護る魔法】があるので魔力がある限りは死ぬことはありません。
しかしアルさんとセーラさんは違います。
帝国以外では魔法もほとんど普及していないため攻撃手段は物理のみとなります。
加えて女性は先頭に参加しないのが基本だと言われているのです。
ほとんど戦闘経験のないアルさんと戦う機会もないであろうセーラさん。
大丈夫だろうか、最初はそう思っていました。
確かに2人は戦闘経験に乏しく、動きはぎこちなかったですが器用さでカバーし、見事に魔物を倒したのです。
セーラさんは少し短い片手剣を両手に、アルさんは短剣を両手に戦っていました。
「ま、楽に戦えたのもアリスの魔法のおかげだがな」
「確かにな。もし倒しきれなかったらなんて考えなくていいもんな」
「その辺変わってくるの?」
「当たり前さ。ちょっと失敗してもアリスがどうにかしてくれるって思ったらな」
「もう僕たちは余裕だよね。心が」
「へぇーー。そんなもんなんだね」
「アリスはないのか?」
「どうなんだろう。複数人で戦ったことはあるけどそれぞれで戦ったって感じだから」
「それぞれで!?さすが帝国ってところか」
夜が明けて移動2日目、変わり映えのない街道をひたすら歩き続けます。
たまに商人の馬車が通る以外は何も変わりませんでした。
そして2日目の夜、ようやくトリノスに到着しました。
さすが首都と言うべきか、周りが城壁で囲まれています。
そして夜に着いたせいで城壁の門は固く閉ざされていました。
この時間にはもう中には入れないので今日も野宿です。
3日目、トリノスに入りました。
レンガでできた家が綺麗に並んでいます。
帝国のトリアート領までの道のりは約1ヶ月。
休める時に休もうということで今日1日はゆっくりと休みました。
美味しいものを食べたり、久しぶりのベットを堪能したり、武器防具の手入れをしたり。
4日目、トリノスを出てトリノ公国の端っこに位置する街、トンビに向かって歩きます。
山に登る前にある街はそこで最後だそうです。
6日目、トンビに着きました。
宿でゆっくり休み、山登りの最終確認をします。
装備の最終点検、食料の確認、体調、山の天気など問題ないことを確認した8日目、ついに山に足を踏み入れました。




