63.龍
結論から言うと私たちは死にませんでした。
理由は2つ。
1つは私の魔法、もう1つは空にあった謎の影でした。
ブレスが届く直前、私は1つの魔法を思い出しました。
使っている状態が普通になるほどに使い慣れているあの魔法。
そう、【物体を護る魔法】です。
ブレスが当たる直前に【物体を護る魔法】をみんなの前に展開しました。
展開が間に合ったのか、私たちは生き残ることができた、そう思っていました。
実際に展開は間に合っていたしブレスも防げていました。
でもそれはほんの少しの間だけ。
私の【物体を護る魔法】はブレスの威力に耐えきれず破れてしまったのです。
2回目の絶体絶命。
でもそこから助かったのは“空の影”のおかげでした。
もっと言うと龍のおかげでした。
竜にはできなくて龍にはできること、それは飛行です。
龍は基本的に超高高度を飛行するか地面すれすれを飛行するかの2択です。
今回は上から落ちてきたから超高高度を飛んできたんだ、なんて考えは間違っていることを私は知っています。
龍は獲物を追っている時には獲物と同じ高度にいます。
竜は飛べないから地面にいる。
つまり龍は海面すれすれを飛んでくるはずなのです。
なのに龍は上からやってきた。
さらに言えば竜を狙って突撃しているのではなく、高いところから落とされたかのように見えたのです。
龍に限って空から落ちるなんてことはあり得ません。
でも結果的には竜に当たり、竜より硬い鱗を持つ龍によって潰されてしまいました。
ただあんなに高いところから落ちてきた龍も無事ではありません。
“あんのクソ魔女がぁ”
声には出してない?はずなのに声が聞こえてきました。
人間の声ではないので龍の声で間違いありません。
“貴様っ!なぜそこにいる!”
そう私の方を向いて叫びます。
“なぜっ!有り得ぬ。だがそんなに小さければ問題もなかろう。直々に潰してくれよう”
よく見ると龍の鱗に焼き印がありました。
あのマーク...どこかで...。
あ!氷の!
龍の鱗にあったのは水属性の攻撃魔法【物体を凍らせる魔法】の魔法陣でした。
初めて使う魔法ですがそれより上位の【世界を凍らせる魔法】を使った私には問題ありません。
「なんか知らないけど【物体を凍らせる魔法】!」
バキバキバキバキバキッ
“己れ貴様っ!何度これをすれば気が済むんだ!絶対に解いてやる!そして貴様を殺してやる!龍を舐めるんじゃ———”
そして龍は氷に包まれました。
ここで覚えたのは1つの違和感。
【物体を凍らせる魔法】ではこれほど分厚く、頑丈な氷を生み出すことはできません。
ましてや龍を凍らせるほどの威力なんて....。
何はともあれ、龍の動きを封じることができました。
ということでこの龍を海に沈めることにしました。
竜によって作られた道を使って龍を運びます。
「【世界を凍らせる魔法】そして【風を起こす魔法】」
氷の道の上を氷の龍を風で押しながら海まで運びます。
そして無事に沈め終えた私はみんなのところに戻りました。
「じょ、嬢ちゃんだ!嬢ちゃんが戻ってきたぞ!」
「おぉぉぉ!どこ行ってたんだおめぇ!心配したんだぜ?」
「ごめんごめん。目が覚めたら氷の道があったから」
「これか。まぁ気になっちまうよな」
「おい!それよりもだ。なぜ俺たちは生きている?竜は、龍はどうなったんだ!」
「わからん。セーラ姐さんによると『龍は降ってきて死ぬ。それを見た竜が興奮してさらに暴れる。』って言ってたんだ」
「じゃああの潰れた竜は龍が落ちてきた後ってことか?」
「じゃああの道はなんなんだ!」
「竜と龍が戦った後だと思ったんだよね。たくさんの魔力が込められているから」
「じゃあ龍は?」
「私も見てないからわからないよ!ただここにいないってことは西に戻ったとみてもいいんじゃない?」
「俺はアリスちゃんに賛成だ。わからないならいいように捉えようぜ」
「ノートス!お前はそれでいいのか?いつ来るかわからねぇのに」
「わからないから今考えても無駄だってんだ。龍の予兆も影も魔力もない。なら帰ったか死んだと見てもいいと思うぜ」
「そうだな。そこに竜が死んでんだ。龍も死んででおかしくねぇだろ」
「じゃあ俺たち生き残ったのか...?」
「うおぉぉぉぉぉぉ!これで安心してミナと寝れるぞ!」
「その前に告白しろよ」
「そうだそうだ!いつまでうじうじしてやがる」
「うるせぇ!いいか。ミナを見てると可愛すぎて緊張するんだ!」
「うわぁ。初心かよ」
「悪かったな!初心で」
「「「「わっはっはっは!!!」」」」
「ありがとな、アリスちゃん」
「俺たちからも礼を言うよ」
「じゃあ私からも。みんながいなきゃ死んでたよ」
「お互い様だな」
「ま、生き残れたんだ。振り返りはこんぐらいにしようぜ」
「そうね。『闘いは帰るまで』だからね」
「いいこと言うじゃねぇか」
「アリスちゃんの言う通りだ。さっさと帰ろう!」
海獣は4本足のクジラ
竜はゴ○ラ
龍は西洋龍
のような姿をしています
本文中と矛盾があったらすみません




