55.海獣の上陸
昨日から夏の毎日投稿をしています
前話を読んでいない方は先にそちらを
バッザァァァァァァン
とうとうこの日がやってきました。
海獣の上陸です。
この日までにアルさんは長老の家に行ってみんなを避難させるようにお願いしましたが聞いてもらえず、村で注意喚起して逃げた数家族以外はこの村にいたままでした。
「あーあ。言わんこっちゃねぇな。アルの言うことを聞かないからこうなんだ」
「全くだ。姉貴の言うことを聞いておけば」
「で、お2人はどうすんの?」
「姉貴が残るんなら残るよ」
「私も!魔法が使えるんだからある程度戦力にはなるでしょ?」
「はっ、アリスは戦う気かよ。でも嫌いじゃないね」
するとここに老人たちがやってきました。
1番先頭にいる人は立派な白髭を生やしているのでおそらくこの人が長老なのでしょう。
「アルフィオス、セーラ、すまんかった。そしてどうかわしらを逃してくれんか。その台車に乗せて欲しいんじゃ」
「これはこれは長老衆ども。ご機嫌麗しゅう」
「そんなことはどうでもよい!あの海が見えんのか!」
「おやおや、その海を見てなんともないと答えたのはどちら様でしたっけね」
「あん時はなんもなかったじゃろ!今は別じゃ」
「黙れ老害ども!アルの忠告を無視して危険が迫ってきたら逃がせだぁ?んな虫のいい話聞けるか!」
「貴様!誰に向かってその口を!」
「「「「そうだー!」」」」
「うるさいうるさい。別にうちじゃなくてもいいだろ。さぁ帰った帰った」
「お前のとこが1番速いから乗せられてやると言ってんだ!ありがたいことこの上ないじゃろ」
「長老様、うちの台車はいっぱいでございます。申し訳ありませんが別を当たってください」
「んなわけあるか!どうせそこの3人だけじゃないか」
「アル、もういいぞ。何言っても無駄だ。さっさと行くぞ」
そう言ってセーラさんが台車を引いて行き始めました。
「貴様ら!後で後悔するぞ!」
「それだけおっきいならわしらも乗るだろ!」
「セーラさんいいの?」
「いいんだよ、あんな老害なんかほっといて」
「にしても家がなくなるのは何回目かね」
「ほんとだよ!まったく。でも今回はアリスがいるから早く片がつきそうだな」
「そうだね」
「これ、どこに行くの?」
「あっちの小高い丘だ。海獣やら竜やらがきたら水が流れ込んでくるからな」
「そしてそのあとは上陸してきた怪物を倒すって感じだね」
そしてやってきた小高い丘の上には先に避難した人がたくさんいました。
「あれ、長老たちは?アルんとこが連れてくるって言ってたけど」
「あんなもん置いてきたわ!上から偉そうにしてやがったからな」
「ははは、さすがセーラだ。ま、誰も文句は言わんでしょ」
「そうだといいんだけどね」
「じゃ、始めるか」
「「「「「「おーーー!!!」」」」」」
この地域に住む人たちにはとある特技があります。
それは仮の家を一瞬で建てれることです。
でも今回はその特技が生かされることはありませんでした。
「おっしゃ!こんなもんだろ」
「いや、お前なんもしてねぇだろ」
「はっはっは、応援したからなんもしてないことはないぞ」
なぜなら私が魔法で家を建ててしまったからです。
もし誰も説得できずに当日になった時、少しでも荷物を軽くするために建材を置いてこいと伝えたのです。
そして私が魔法で家を建てる、そんな計画が今実行されたのでした。
「にしてもセーラとアルが連れてきた嬢ちゃんすげぇな」
「建材いらないって言われた時は驚いたけど、確かにいらないな」
「お嬢ちゃんび感謝だな」
「そうだな」
そして避難先で落ち着いた頃、地面が揺れ始めました。
「来るぞ」
「そうだな」
「嬢ちゃんや、怖かったら戻っててもいいんだぞ?」
「大丈夫。何があるのか気になるから」
「見てて気分がいいもんじゃないがな」
「この嬢ちゃんがいれば復興も早いだろう」
「違げぇねぇ」
「「「「「がっはっはっは」」」」」
「笑い事じゃないのよ!?あんたたちはあの家に思い入れはないの?」
「あるさ。たんまりとな。でもこうやって生きていればまた思い出ができる」
「それに何回も壊されちゃぁたまんねぇ。こうやって笑っていた方が楽なのさ」
ドドドドドドドドドドドドドド
「来たな」
「そうだな」
それは大きな大きな波でした。
海獣が陸に向かって泳ぐことによってこの大きな波が生まれるのだとか。
そのままその波は家を、木を、人を、そして街を飲み込んでこの丘にぶつかりました。
ドォォォォォォォォォォォン
それにより激しい揺れが私たちを襲います。
周りの人が座っとけと言っていた理由がわかりました。
バッザァァァァァァン
海獣が海面から顔を出します。
「おぉおぉ、やってきたな」
「今回もでけぇな」
「殺れるかぁ?」
「殺れるか殺れないかじゃない。殺るんだよ!」
「おぉぉ!やってやんよ!」
「「「「「「おぉぉーーーー!!!!」」」」」」




