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50.漁師の仕事

海辺の村の夫婦に拾われてから数日後、私は約束通りに働き始めました。


「ほんとにいのかい?じょ、アリスちゃん」

「うん!アルさんも魔法があった方が楽でしょ?」

「そりゃそうだけどさ。無理はしないでよね」

「もちろんよ」


アルさん———アルフィオスさんと一緒に船に乗ります。

木の皮でできたのじゃなくてちゃんとした船に。


「じゃあ頼めるかい」

「まかせてーっと。【そよ風を起こす魔法(ブリーズ)】」


魔法で起こした風によって船が動き出します。

これから私たちは魚釣りに行くのです。


「うはーっ。楽だなぁこりゃ」

「私も船を動かしたことはないから楽しいわ」

「ははは。『(らく)』の字で掛けてるのか。頭いいなぁ」

「えっ、ほんとだ」

「考えてなかったの!?」

「まったく」

「なんてこった。ん!魚が近いね。網を下ろすよ」

「「よいしょーー!」」








「おかえりー。どうだったかい?」

「大漁だよ。にしてもこの娘、有能すぎる」

「そんなことないよ。だって私には魚の位置とか分からないもん」

「でも魔法でどうにかなるんでしょ」

「まぁ...そうだけど」

「あらま、働きたての女の子に抜かされてやんの」

「んだーー!からかうな!アリスちゃん、行くよ」

「わっはっは。水は張っておいてやったよ」

「あんがとよ」


アルさんと一緒にセーラさんが水を張ってくれた所まで魚を運びます。








「血が残ってると腐りやすくなるからね。ここで全部流しちゃうのさ」

そう言って魚の洗い方を教えてくれます。


見よう見まねでなんとか洗い終わった後、次は出荷の準備です。


「この木箱に入れて、魚の種類と数を札に書いて乗っけといて」

「これ全部?」

「全部は多いよ。木箱...2つかな」

「残りは?」

「それは帰ってきてからだ。台車の準備とかしてくるからよろしく」

「はーい」


言われた通りに、洗った魚を木箱に詰めて蓋をした後に札を乗せます。


ちょうど2つ目の札を書き終わった頃アルさんが台車と一緒に帰ってきました。


「おつかれー。ちょうど終わったみたいだね」

「これでいいのよね?」

「うんうん、バッチリだ。じゃあこれを台車に乗せるんだけどできる?」

「このぐらい余裕よ」

「じゃあ頼んだ。俺は水を換えとくから」

「わかったー」


魚の入った木箱を台車に積みます。


もちろんこの木箱は重いので私には持てません。

しかし私は魔法使い。やり様はいくらでもあるのです。


土魔法には物の重さを変える魔法があります。

それを使うことによって木箱を軽くし、私でも運べるようになるのです。


「うわーアリスちゃん、見かけによらず力持ちなんだねぇ」

「でしょ!このぐらい余裕よ」

「おしっ、準備できたし市場に持ってくか」

「おーー!」





こうして海辺の村での1日が始まります。


市場から帰ってきたらご飯を食べたり、二度寝したり、アルさんのお手伝いをしたり、セーラさんとおしゃべりしたり。

時々忙しくもなりますが充実した楽しい生活を送っていました。






あの時までは。




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