49.上陸
火曜日はすみませんでした!!!
投稿ボタン、押せてなかった...
海の奥底から意識が戻ってくるとそこは広い海原...ではありませんでした。
見慣れない天井、ふかふかの布団、壁にある小さな窓から差し込む光と風。
おそらく私はどこかの小屋の中にいるのでしょう。
海の上にいると思ったら小屋の中にいた驚きでしばらく固まっていました。
するとドアが開いて1人の男の人が入ってきました。
私を誘拐した人だと勘違いしてしまった私は身を守ろうと杖を探します。
杖がなくても問題なく魔法は使えるのですが威力が全く違うので魔法使いは基本杖を装備します。
いざというときの近接戦闘にも使えるし。
しかしあたりを見渡しても杖は見当たりません。
「よう、嬢ちゃん。おきたk———」
「杖!私の杖はどこっ!」
我ながら酷いと思います。
安全な小屋の中にいる私。つまりこの人は海で私を見つけたかなんかしてここに寝かせてくれていたのでしょう。
この人が私を誘拐したのかもしれませんが、海獣の多い海から引き上げて陸に連れてきてくれた人です。
命の恩人と言っても過言ではありません。
ただ杖がなかった。
誘拐されたあとだから疑心暗鬼になっていた。
頭は戦闘した後のままだったから気が立っていた。
理由はいくらでもあるでしょう。
だけど真実はいつも一つ。私は助けてくれた人に強く当たってしまいました。
「あーあー、すまないね。杖なら床に置いてある」
「———っ。す...」
怒って手を出されても追い出されても文句は言えない、そんな状況だったのに。
なのにこの人はそうしなかった。
この人は理不尽な攻撃を受けたのに優しく答えた。
私の中で何かが壊れる音がする
きっとそれは今までの疲れで
緊張で
不安で
寂しさで
。
気づくと涙を流していました。今まで流したことのない暖かい涙。
「うわぁ、すまない!そんなとこにおかれたくなかったよな」
フリフリ(首を横に振ってる)
「なにを騒いでんのさ———っ」
勢いよく入ってきた女の人。私の涙を見て呆気に取られているようでした。
「違うんだ!俺はなにも———むぐっ」
「そっとしてやんな。ウチらは部屋の外おるから落ち着いたら来な。ゆっくりでいいかんな」
そう言って出ていきました。
家族を想って、友達を想って、故郷を想って。
今までの辛さをあの2人の優しさに包まれながら涙と一緒に流していきました。
泣いて泣いて泣きまくって。
もう体の水分がなくなったと思うほど泣いた後、部屋の外に出ました。
そこにはさっきの2人が待っていました。
「もう大丈夫なのかい?」
コクン(首を縦に振る)
「嬢ちゃん、飯食うかい?」
「あ...あの、」
「ん?」
「なんかあんなら飯食いながら言いな。ゆっくり聞いてやるから」
「あの、助けてくださってありがとうございます。そしてさっきはごめんなさい」
「こりゃまた礼儀のいい娘で。いいんだよ気にすんな」
「嬢ちゃんも急なことでなにが起きたかわかんないんでしょ?あの部屋使っていいからしばらく休むといいよ」
「わ、私アリスっていいます」
「んじゃアリスはゆっくりすること。あんたのこと話したければ話してもいいし話さなくてもいい。ある程度の仕事はしてもらうけど他は自由にしていいから」
「セーラ、働かせるの?」
「当たり前さ。『働かざる者食うべからず』っていうだろ?」
「私、働きます。ちゃんとお世話になる分」
「ほらな」
「まぁありがたいけど、無理のないようにね」
「はいっ」
こうして誘拐されて、海に捨てられ、海獣と戦って気を失った私は親切な夫婦に拾ってもらいました。
「ふ、夫婦なんてそんな、」
「お、珍しくセーラが照れてる」
「っせぇなぁ。仕事増やすぞ」
「あははは。それは勘弁だね」
「...?」




