48.海獣
グオォォォォォォォッ
海獣が大きな声を出します。
本での知識しかないのですが、この海獣はかなり大型のもの。
規模で言うと、討伐隊が組まれ、国の軍が動くほどです。
普通ならこんな魔法使いが1人で戦って勝てる相手ではないのです。
そう、普通ならば。
幸運にも私は賢者と呼ばれる人と似た部分が多くあり、魔力、魔法の熟練度、多属性などのおかげで帝国の中でもかなり強いのでしょう。
オースティン侯爵が言っていたので恐らく間違いはありません。
こんな普通でない魔法近いの私ならば勝機はある!
そう思っていた私は馬鹿でした。
「いけっ!【世界を凍らせる魔法】!」
パキパキパキッ
海と一緒に怪獣を凍らせて動きを止めるっ!
グ、グアァァァ
このまま次の魔法を!
「【雷の槍———」
バキバキバキバキザパァァァァン
「うきゃぁっ」
海獣が氷を割り、大きな波を立てます。
船が大きく揺れ、私も落ちそうになるのを必死に堪え次の攻撃の準備を整えます。
「【氷柱を落とす魔法】!」
落とした何本かが海獣の背中に刺さります。
海獣も痛みを感じてか、さっきより大きな波を起こしてきます。
「波じゃ痛くもないよっ」
海獣に言葉を理解することはできないと思って言ってしまいます。
なんでこんなことを言ったのか、海獣は本格的に攻撃してきました。
海水を操作して渦を起こします。
おそらくこれは魔法による渦!
それならばと海の中に手を入れて水の操作権を奪おうとします。
しかしさすがは国が動くほどの海獣、全然奪えませんでした。
結論、私は渦に呑まれて海の中に落ちてしまいました。
じゃあなぜ今話しているのかって?
生きているからです。
海獣を倒して外の空気を吸えたからです。
水の中には空気があるそうです。正確には私たちが息をするのに必要なものが。
海獣は水を操作していたのです。
それなら操作の対象ではない空気を操ることなんて簡単です。
空気を集めて口の中に入れます。
これで呼吸に困ることはないと言っても過言ではないでしょう。
さらに私は無詠唱で魔法を使える!
つまり水の中にいても関係ないのです。
「@!?¥&#%「jd」@?(【大剣を創り出す魔法】)」
創り出した大剣が海獣を串刺しにします。
しかしさすがは海獣、この程度では弱りもせずこちらに攻撃を仕掛けてきます。
「@/#;^*%¥@(【爆発させる魔法】)」
これは私の魔法で創った大剣。
なのでその剣を爆発させることなんて容易いことです。
体の内側からの攻撃はさすがに堪えたのか、攻撃の手が緩みます。
その隙に私は海面に出て船に乗ります。
軽くて小さいけど意外と頑丈だったらしく、あの渦の中を無傷で乗り切っていました。
「【氷の大剣を創り出す魔法】!」
海獣に新しい穴ができます。
そしてその一刺しが止めの一撃となり、海獣は唸り声を上げながら沈んでいきました。
「や、やったっ。かった」
海獣は倒せたものの私は本当に満身創痍でした。
魔力は尽き、海の中に落ちたときに周りにいた小型の海獣に攻撃されて切り傷ができ。
この傷を癒そうにも魔力がないのでどうしようもありません。
そして魔力が尽きたおかげで私の意識はこの海よりも深く深くに沈んでいきました。




