47.海
目が覚めるとそこは家でした...なんてことはありませんでした。
冷たくしょっぱい水たまりがずーっと広がっているこの場所。
私も実際に見たことはありませんが本では読んだことがあるこの場所。
そう、海です。
私はずっと眠らされていたのでわかりませんが“船”というものでここまできたのでしょう。
しかし船は壊れたのか、それとも私を置いてどこかに行ってしまったのか、船と思しきものはどこにも見当たりませんでした。
私は木の膜に魔法で空気を入れた木浮と呼ばれるものの上に乗せられこの海に放り出されていました。
...どうしましょう。
ここには食べ物も飲める水もありません。
大地も見えないのでどこに進めば陸があるかも分かりません。
無属性魔法にはとある地点に移動できる魔法があるらしいのですが私にはまだ使えません。
それでもこのままここで浮き続けることはできないので移動を始めます。
手に魔力を込めて空気を掴む。
そしてその手を海の中に入れて風を起こす魔法を使います。
後に空気を掴まなくてもいいことを知るのですがこの時の私は知らないので手にある空気がなくなるたびに空気を掴んでは中に入れてを繰り返していました。
おそらく半日ほど続けていた頃でしょう。
急に体が重くなってきました。
それまでの間は魔法を駆使することによってかなり移動できたと思います。
しかし半日飲まず食わずで魔法を使っている。
疲労はたまり魔力も無くなってきました。
きっと体が重くなった原因も魔力の枯渇でしょう。
ただこの浮は木でできている。つまり長い時間浮かべていたら腐ってしまうのです。
周りを見てみると空は暗くなり、夜が訪れようとしていました。
海には海獣と呼ばれる魔物がいますが、暗くなるとそれを見つけにくくなります。
というわけで今日は寝ることにしました。
翌朝、喉はカラカラ、皮膚と髪はパリパリの状態で目を覚ましました。
浮の上で水をかぶるわけにもいかないので、浮の外に顔を出して水魔法を使って頭を洗います。
ここで1つの考えが私の頭をよぎりました。
水魔法で出した水を飲めばいいのでは?
飲みました。
美味しくなかったです。
水は水なのですがどこか苦くて酸っぱい味がするのです。
しかし水は水。私の体に大切なものなのでしっかりと飲みました。
そして今日も魔法で進め...?
あそこにあるのは...。
遠くに影を見つけました。
陸かもしれない!
そう思った私は全速全身で影に向かって進みました。
この海には海獣がいるということも忘れて。
その影にかなり近づいてようやく気づきました。
そこにあった、いや、いるのは海獣、それもかなり大型の。
ここに来るまでにかなりの魔力を消費した私。
自分の住処を荒らした小さい生物を見つめる大型海獣。
グオォォォォォォォ!
もうこれは戦うしかなさそうです。
アリスさんは本を読んでいるため、海に関しての知識もかなり持っております。
ただ航海術は知らないようで。




