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31.冬籠り

一面の銀世界。

地面を見ても家を見ても空を見ても雪だらけです。

今年もこのニムレット村に冬がやってきました。


「さーむーいーよー。お姉ちゃん、暖かくする魔法とかないの?」


相変わらずの寒さと雪の中、去年から変わったことといえば、トリニア———ニアが流暢に喋れるようになったことです。

まだ滑舌に不安なところはありますが、普段話す時にはなんの支障もないので問題はないでしょう。


「暖かすする魔法ねぇ。あるにはあるんだけど家が燃えちゃうよ」


私が思い浮かべているのは火魔法です。

料理で使うみたいに火の玉を浮かべていれば暖かくなると思うのですが...家が燃えそうな気がしてなりません。


「あの火の玉を浮かべるやつ?」

「そう。火が熱すぎて家に火が着いちゃうと思うんだよね」

「ふーん。ざんねーん」

「アリスー、ニアー、ご飯よー」


キッチンからお母さんの声が聞こえてきます。


「「はーーい」」


ご飯の間だけはこの寒さを忘れてしまうのです。






ニアとこんな会話をしてから数日後、私はとある魔導書を読んでいました。

この魔導書には光属性の魔法が書かれているのですが、ほかの魔導書とはちょっと違いました。


一般的に光属性の魔法は灯りとしてだったり、素早い攻撃、ゾンビやスケルトンを倒すのに使われます。


光属性の攻撃は攻撃力が弱いかわりにスピードがものすごく速いです。なので対人戦でも魔物討伐でも先制攻撃や不意打ちとして使われます。


しかしこの魔導書にはそれ以外の使い道が書かれていました。


それは『暖をとる』です。


著者曰く全ての魔法は"闇"と"光"から始まっており、この二つの属性はそのほかの全ての属性の力を持っているとのことです。


この説明を読んで改めて光魔法の魔法陣を見てみると火属性や雷属性の魔法陣と似た部分がありました。


闇属性も調べてみたいと思ったのですが私はまだ闇属性の魔法を覚えていないのでできませんでした。

言われてみれば今まで闇の魔導書を見たことがない気がする...。


そんなことを思いながら魔導書を読み進めます。


『魔法陣に書かれていることには全て意味があります。どの属性を使うのか、どんな形にするのか、どのくらいの大きさなのかなど。光属性の魔法にはこれらのこと以外にどの属性をどのくらい混ぜるかの表記があります。それを書き換えて調節することでどんなこともできるのです。暖かい光を出したり、光る水を流したり。』


暖かい光!

これこそが今私が求めていたもの!


早速習得すべくその魔法の説明が書かれているところを開きます。


読みます。


...。

...........。

.................................。


理解できなくはない、書かれていることの難易度はそのくらいでしたが、呪文と魔法陣が全く理解できませんでした。


一応呪文と魔法陣の形はわかったので使ってみます。


「『光の粒子よ、魔力を糧に光り輝け!【ライト】!』」


ただの光が生まれました。私もよく知ってる光魔法の光です。暖かくはなく、むしろ少し冷たいまであります。


魔法はイメージの世界です。私が『暖かい光』のイメージができていないせいでしょう。




結局『暖かい光』がわからないまま時間が過ぎていきました。





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