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15.テレスアート・ウォン・トリアート

「テレス」の部分が「クロ」になっていたので訂正しました

約束の広場に向かうとすでにテレスが待っていました。

少し急ぎ足で駆け寄るとテレスは笑って迎えてくれました。


「ごめんテレス、お待たせ」

「んーん。来てくれてありがとう」


テレスはいつもの動きやすい服じゃなくて黒色を基調とした服を着ていました。


「んじゃアリスティア様、こちらへ来ていただけますか?」

「ちょっとテレス!恥ずかしいからやめて!行くから」


もうそれは恥ずかしさで熱を出してしまいそうなほどでした。



村を出て馬車で踏み固められた道路に出ると豪華な馬車が待っていました。


「ねぇテレス。あれに乗るの?」

「うん、そうだよ」


平民じゃ乗れなさそうな馬車に遠慮しているとテレスが手を差し伸べてくれました。いわゆる「エスコート」っていうやつです。

あの馬車に乗ることは冗談ではないらしいので素直にその手を掴みました。



テレスの家まで馬車で揺られているとテレスが感謝と事情を話し始めました。


「何回目か分からないけど引き受けてくれてありがとうございます」

「いいのいいの。だからもう頭上げてよ」

「ありがとう。えっと...じゃあ今後のことについてなんだけど、まずアリスには踊れるようになってもらうよ。ダンスパーティーにも種類があって、ダンスのお相手を連れてこなければならないパーティーの時にはアリスに踊ってもらう。んでそうじゃない時にはメイドとしてきて欲しいんだけどどうかな?」


「えっ?メイド?」


「そう。パーティーを知るってことでどうかなと思ってね」

「たしかにテレスと踊るってなったら周りの雰囲気とかに慣れておいた方がいいのかな」

「まぁそうだね。慣れることに越したことはないよ。...っと着いたね。ここだよ。」


というテレスの声で馬車の窓から外を見てみるとそこには何回か見たことがあるお屋敷が建っていました。

領主様のお屋敷です。


「えっ?ここ?」


「...?ここだよ?アリスは来たことない?」

「あるよ!あるある。領主様のお屋敷でしょ?」

「そうだよ。ようこそ我が家へ!」


なされるがままに家の中に入れられてテレスのお母さんからテレスと同じような説明を受けました。


その時私は気づきました。


ここはヒリアット帝国トリアート領。

テレスの本名は「テレスアート・ウォン・トリアート」。

つまりテレスはテレスアート家の人だったのです。



そうして驚愕の新事実を抱えて、私の鈍感さを感じながら私の特訓が始まりました。


ダンスの練習はテレスと一緒に受け、2人で合わせる練習などもしました。

その他にお昼ご飯の時にはテーブルマナーを学び、ドレスやメイド服を着たり、言葉遣いを学び、歩き方を変え、姿勢を整え...。



そして怒涛の1ヶ月が過ぎました。


毎日家に帰ってはいたものの、ほとんどテレスの家にいたことでテレスの家が私の家な気がしてきた頃、今までのアリスティアはいなくなっていました。



初めてのパーティーの前日、トリアート家のお屋敷には1組の紳士淑女がいました。


黒を基調とし派手にならない程度に金糸の刺繍が入ったスーツを着ている紳士———テレス。


白髪に合わせた明るめの青色のドレスを見に纏った淑女———アリス。


「うわぁぁぁぁ...アリス綺麗だなぁー。すげぇ。アリスじゃないみたいだ」


最後のは失礼じゃないかと思いつつテレスの言葉に同意します。


自分でも驚くほど私は変わっていたのです。


ドレスを着こなし、姿勢は美しく、程よい笑みを浮かべ...。


テレスが別人みたいと評するのも納得するほどの変わりようでした。


「ありがとうございます。テレス様」


私はお淑やかに返します。



地獄のようだった1ヶ月間。その1ヶ月が私を貴族風に仕立て上げていました。


「それでは向かいましょうか、()()()()




予定より早めにテレスの正体を暴露!

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