90.入学式
「入学式」ってタイトルなのに入学式のシーンはほとんどないです
4月の1日、つまり今日はオースティル学園の入学式のある日です。
他の4人も無事に試験に受かり、5人でトリアート家の家紋が彫られた馬車に乗って学園に向かいます。
試験が終わってから数日間、私たちはちょっとした勉強をしていました。
それは時間と礼儀についてです。
私たちのような農作業をする人にとっては日付や時間はあまり大切ではなく、主に季節を重視します。
なので農村で帝都のような都会で使われている日付や時間の概念が普及してこなかったようです。
と、言うわけでテレス先生に帝国の日付について学びました。
日が昇ってから沈むまでを24分割し、そのうちの1つを1刻、24刻で1日となり、前半の12刻を午前、後半の12刻を午後といいます。
その1日が30個集まって1月、1月が12個集まって1年となるそうです。
つまりは1年は30日が12個集まっているので360日となるそう。
そして次は礼儀作法について。
貴族であり、社交の場によく出ているテレスはほとんど問題ありませんでした。
1年に1、2回ほどパーティに出ていた私はある程度できるものの、粗があったのでメイドさんに鍛え直してもらいました。
クロとサーラは初めてのはずなのにすぐに身につけてしまいました。
テレスとメイドさんの教え方が良かったのでしょう。
ディルはテレスとメイドさんと執事の3人がかりで教えたのですが全然身につかず、とりあえず挨拶と簡単な会話ができるようになりました。
そして昨日、ようやく学園から制服と合格の知らせ、そして教室が書かれた紙が届きました。
「お、俺は2棟のA教室だってさ」
「俺も2棟みたいだね。でもC教室だよ」
「私は2棟のB教室だったよ。みんな別の教室っぽいねー」
「僕は1棟のA教室だったよ」
「あ、私も!ここは一緒なんだね」
「2人とも魔法が上手いからね」
「なんか関係あんのか?」
「魔法科のA教室は基本4属性の上級教室なんだよ」
「え、じゃあ騎士科のほうは?」
「武器によってだったっけな。ディルは大剣でサーラは短剣でしょ?」
「なるほどなぁ」
オースティン伯爵、学園長のプリシード先生、各科の長の話があって入学式は終わりました。
入学式あとは教室に行き、担任の先生の紹介があり、学園内の見学があります。
そして明日から授業が始まるそうです。
「アリスが同じ教室になって助かったよ」
「私もだよ。知らない人ばっかりだと怖いしね」
「そうだね....。うっ、ちょっと端っこ行ってもいい?」
そういえばクロは人混みに酔う人でした。
クロの手を掴んで廊下の隅に行きます。
「ごめん、すっかり忘れてたよ」
「ん、僕もこうなるの久しぶりだから」
「とりあえずこの集団が行っちゃうの待とうか」
「うん....。ありがと」
クロの気分が良くなるのを待って、教室に向かいます。
しばらく歩くと、大きく“A”と書かれた扉がありました。
「ここがA教室だね」
「みたいだね。あ、アリス。手、大丈夫だよ」
「ん?あー、そうだった!」
クロの手を掴んで話すのを忘れてた私はクロの言葉で手を離します。
「じゃあ開けるよ?」
「うん」
ガチャ
扉を開けると中にはそこまでたくさんの人はいませんでした。
が、化粧が施されていたり、豪華な髪飾りをつけていたり、宝石のついた指輪をはめていたり。
見ただけでお金持ちだと分かる人ばかりでした。
テレスの力でそれなりの格好はしていますがそれでも浮きそうな雰囲気はありました。
「僕、大丈夫かな」
「私も心配になってきたよ」
クロ 「僕、大丈夫かな」(男子全然いないなぁ)
アリス「私も心配になってきたよ」(パーティで見たことがある人がいるなぁ)




