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062番  作者: ︎︎
[少年から062番へ]
14/14

点呼

 私は力がどれほどの物か確認する為、トレーニングルームへと移動した。

現在の体重が約五十~五十五として、その半分の二十五あたりのダンベルを持った。普通に持てたりはするものの、すぐに息が切れてしまう...

力が増えているだけで体力はそのままのようだ。


 自分の力について少し理解を深めた私は、点呼が始まる前に部屋へと戻る。前々回や前回の経験を踏まえ、今度はハプニングが起きないよう、部屋の前でわざと大きな足音を立てて入室した。

少女改め61番は、残り四十分で点呼が始まるというのに、まだ布団の中で睡眠をしていた。

(起こすべきか否か...変に起こしてキモイとか思われる可能性も捨てきれない)

女の子との会話経験が一切無い私にとって、判断をするにはあまりに難しかった。

私は何か良さげな案が出ないか周囲を観察する。

時計が目に止まった。

(もしもあっちの世界と作りが同じなら....)

私は時計を持ち、後ろを確認した。

そこには謎のスイッチと白い枠が埋め込まれており、私は謎のスイッチをオンにした。

白い枠の中に「8:00」と浮かび上がった。私は8:00の8を下にスライドさせ、「12:00」へ変化する。

(これがアラームの役割なら、残り十分で鳴り響く筈だ)

気持ち悪いほど遠回しなお節介をした私は、時間になるまで机上に置いた万能ノートを開いて過ごした。


──────────十分後─────────


 チリリリリリリと時計は大きな音を立て始めた。

(どんな世界でもアラームは嫌な音を奏でるな)

そんな事を考えながらカーテン越しに61番を見る。

一度寝返りは打ったものの、起きるには至らなかったようだ。私は時計のアラームを止め、次の作戦を練る。

(万事休す...か)

諦めの早い私は61番の所へ行き、振動が伝わるようベッドを揺らす。

数回揺らしたあと、61番の目が僅かに開いた。

「おはようございます」

「...?」

「もうすぐ点呼の時間ですよ」

何が起きているのか把握に苦しんでいる61番を横目に、私は机に戻り万能ノートを開く。

三十秒くらい経過した後、斜め後ろがドタドタとし始めた。目と頭が覚めたのだろう。

僅かにお腹がグルグルと鳴る

(あっ、そういえば朝ご飯食べるの忘れた。今行っても間に合わないだろうなぁ...)

私は後悔をしながら二十五分間待機した。


─────────二十五分後────────


 万能ノートによると点呼は扉の前に立ち、第三等の「ピスティス様」が確認するという流れらしい。

前世の幼少期から刻まれた五分前行動に従い、私は部屋を出て扉の横に立った。61番もそろそろ頃合いかと思ったのか、一緒に出てきた。

1~50番は違う場所なのか、廊下には12名、51番から始まると思われる人間達が各部屋の前で立っていた。

(黒マントが等間隔で立ち並ぶ...中々に緊迫感があるな)

正面に目を向けると、横から目線を感じた。

チラリチラリと61番が見てきてるようだった。

(なぜこちらを...いや、違う何処かを見ていて、ただ自分が自意識過剰な可能性も...)

私が心を悶々とさせていた、その時だった。

階段の方から足音が聞こえて来る、どうやらピスティス様という人が来たようだ。

周りの様子を伺いつつ同じ様に立って待機する。

特に掛け声のようなものは無く、ピスティス様は廊下の中心を歩きながら横目で部屋達を見ているようだ。

このまま同じようにスルーされるかと思いきや、私達の前でピスティス様が止まった。

「君達が昨日新しく入った子か!今日は一日目だから、説明も兼ねて見学という形でゆっくり行こう」

「ありがとうございます。宜しくお願いします」

「宜しくお願いします」

(初日から頑張っていこう!みたいな人物像を思い浮かべていたが、どうやら私の見立て違いだったようだ)

予想外の言葉を貰い、戸惑いながらも私は返事をし、それに続く形で61番も返事をした。


 ピスティス様はそのまま階段へと戻り、その後ろを51番と52番筆頭に二列で着いて行くようだ。流れを確認しながら私達も後へと続く。


階段を上り、私たちは建物の外へと向かった。

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