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062番  作者: ︎︎
[少年から062番へ]
11/14

 私はゆっくりと扉を閉める。まだ悲鳴は聞こえない。

(落ち着いて状況を整理しよう...26番は私をこの部屋に案内した。ここまでは合っている)

(そして26番は含みのような、同情するかのような物言いをして早々に立ち去った...。

まさかアレは「そういう事」なのか?)

私の脳は今までに無いほどフル回転をした。ここまでの思考に一秒の時間も要さなかっただろう。


 一分が経過しようとした時、ドアノブがガチャリと動いた。

私は扉が開くよりも早く頭を下げた。その速度は音を置き去りにする程だった。いや、少し盛ったか。

「あの...」

私は何か言われる前に謝罪の言葉で先手を打った。

「ごめんなさい」

角度45度、目線先は靴、完璧だ。

彼女が口を開ける

「大丈夫です....」

ここで体を直すのはまだ二流だ。

相手に顔だけ向けてより同情を促す、そしてもう一度頭を下げて感謝をする。

「ありがとうございます」

(ラッキースケベは恋愛や感動、ギャグ系統専門の筈だ...勘弁してくれ)

私はそんな事を考えながら頭を上げる。ふと、鼻に石鹸のような良い匂いしてきた。

無礼を働いてしまった少女の髪が濡れている。

(もしかしてこの拠点のどこかにお風呂が存在する...?)

想像以上に良い所なのかもしれない。

「あの」

上の空だった目線を少女に移す

黒の長髪に整った顔、幼げながらもその「美」は言わずもがな伝わった。

(黒のマント...着合わせ中だったのか)

私は彼女がどうして着替えていたのか推測しながら返事をする

「はい」

「もしかしてこの部屋に...?」

「その通りです」

(その顔を見れば言いたい事はわかる...この部屋で一緒に住むのか?だろう)

「062番です。宜しくお願いしましゅ」

(あっ)

咄嗟に私は顔を逸らした。

私は緊張していた。

転生前は女の子と話す事なんてほとんどなかったのだ。歳が近ければなおさら...一年に一回あるかないかくらい。

(顔が見れない...)

同居人が刺そうとした女の子、しかも着替え途中に遭遇、そして最初の挨拶をしっかりと噛む。


そう...完璧な「死」である!


数秒間無言が続いた後、少女が口を開いた。

「061番です...宜しくお願いします」

相手の声が僅かに震えていた。

(ナイフを刺そうとした相手が同居人ならそうなるよなぁ...)

相手が後ろを向き、部屋に入った。私もそれに続いて部屋の中へと入る。

部屋の中は中央のカーテンを境に左右の家具が同じ様に置かれていた。奥にクローゼットと着替え中見えない為の二重のカーテン、そしてベッドとランプ、手前に机とイスという順番で設置されていた。

(ズレを一つも感じさせない程の丁寧さ...素晴らしい。こういうのを見ていると心がスカッとしてくる)

そんな事を考えていると、少女がこちらをチラチラと見ている。

(警戒されているのか...?)

何もしない事を伝える為に、中央に設置された仕切り用のカーテンをゆっくりと閉める。

私は紳士なので少女に手を出すなんて事はしない。

私はお風呂に入る為、着替えとタオルを持って部屋の外に出る。

(風呂場ってどこだ...?)

肝心なお風呂場が分からない。

私が路頭に迷うかの如く部屋の前をウロウロしていると、26番が遠くから近付いて来ていた。

「部屋の前をウロウロして、どうしたの?」

「お風呂の場所が分からなくて...」

「あ〜!ごめん!伝えるの忘れてたよ!お風呂は一階にあるんだ」

(救世主...!)

「ちょうど私もお風呂に行こうと思ってたんだ。一緒に行くかい?」

「是非ともお願いします」

今日から彼には敬意を払おう、私はそう心の中で決めたのだった。



 私達はその後、一階のお風呂場まで行き、脱衣所で着替えて中へと入った。

「これは...結構な広さですね」

中は予想以上に大きく、銭湯かと思うほどの広さを有していた。

「設備の設計を任されているイリス様がだいのお風呂好きでね...結構力を入れてるらしいんだ」

(ほう...気が合いそうな人もいるものだな)

私達はそのままシャワーを浴びて、お風呂に身を委ねた。

お風呂に入ってる途中、頭がクリアになった私は幾つか26番さんに質問をした。

「26番さんも相部屋に?」

「ん”ん”ん”ゴホッゴホッ」

26番さんは今まで見た事がない程の動揺を見せていた。

「う、うん...そうだよ...」

「相手は誰なんですか?」

意地悪とかでは無い、勿論好奇心による質問だ。9割は。

「相手は25番...協会の時にいた、私と同じ部隊の女性だね」

(なるほど...つまり同じ部隊の人間が相部屋になるという訳か)

「君は誰と相部屋になったんだい?」

「そろそろ上がりましょうか」

私は逃げるかのように立ち上がろうとした

「いやいや逃さないよ」

(クソッ!)

26番さんは意外とやり手のようだった。私は腕を捕まれ、逃げるに逃げられない状況となってしまった。

私は腹を切って喋り出す

「相手は...協会で26番さん達が連れていた女の子です」

「あ〜!君が刺そうとした子か!」

(悪魔か? )

私はちょっとしたモヤモヤを抱えながら頷く

「実は26番がその子の事を凄く気に入ってて...色々話を聞かされていたから、私はお風呂に逃げてきたんだ」

(なるほど...それでちょうどでくわしたのか)



 私は26番さんと長話をしながらお風呂を終えた。

「私もあの子に挨拶していこうかな」

という26番さんの言葉によって、私と26番さんは一緒に部屋へと向かった。

扉の前まで到着して、ゆっくりと扉を開ける。


私と26番さんは驚いた。

25番が61番の事を押し倒していたのだ...。

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