序話:追放の宣告
昼休みの時間、教室内は学生たちの喧騒で満ちていた。皆、それぞれの小さなグループに囲まれ、ゲームについて熱心に話し合ったり、興味を共有したりしていた。しかし、教室の隅にいるコフナルは一人静かに座って、何も言わずに黙っていた。彼の目は時折周囲を見渡していたが、参加する興味を示すことはなかった。
昼休みが終わると、教師が教室に入ってきた。学生たちは次第に静かになったが、今日はいつもと違って、教師は異常に緊張しているようで、すぐに授業を始めることはなく、講台の前に立って、何かを待っているようだった。
学生たちは教師の変わった様子に気づき、ささやき合い始めた。時折、誰かが教師に今日の授業の進行について尋ねたが、返事はなかった。この異常な雰囲気に不安を感じながらも、コフナルは心の中で微かに期待感を抱いたが、すぐにその感情を押し込めた。
「今日は重要なお知らせがあります。」教師がようやく口を開いたが、その声は少しぎこちない。「今日から、このクラスは授業を受けなくてもよくなります……」
その言葉が終わる前に、コフナルと数人の学生を除いて、教室は瞬く間に騒然となった。学生たちは興奮して手を振ったり、疑問の表情を浮かべたりしていた。教師が説明を続けようとした矢先、教室の床に複雑な魔法陣が現れ、強烈な光を放った。コフナルを除くほとんどの学生は、この突然の光に目を閉じた。
「この世界の勇者として選ばれました。」光の中で威厳ある声が響いた。
光が次第に収まると、学生たちは視界を取り戻したが、目の前の光景はもう馴染みのある教室ではなくなっていた。彼らは薄暗い部屋に立っており、微弱な光源が周囲をかろうじて照らしていた。光源の近くには、鎧を着た金髪の女性が立っていた。
「申し訳ありません、女神様、学生たちに状況を説明する前に、あなたに転送されてしまいました。」
「気にしないでください。」金髪の女性は淡々と答えた。「私自身は女神ではありません。神の手下の一人であるウノと呼んでください。」
ウノは事情の概要を簡潔に説明した。この世界の神が一団の勇者を選び、魔王を討伐するために、今回選ばれたのがコフナルのクラスであるということだった。学校の校長と教師には事前に通知しており、これが転送儀式の原因だった。
次に、属性の鑑定が行われた。各学生はカードを渡され、ウノの指示に従って魔力をカードに凝縮した。カードには、それぞれの属性数値と能力が表示された。
「このクラスの数値は非常に良いですね。」ウノは頷いた。「ほとんどが70以上です、ただし……コフナル……0.01……こんなに低い数値は初めて見ました。」
この言葉が発せられると、全員の視線がコフナルに集中した。しかし、彼はただ淡々と顔を上げ、平静な口調で言った。「つまり、私は勇者チームに加わることができないということですか?」
彼の平静な態度は、彼が数値の低さやチームに参加できるかどうかに無関心であるかのように見えた。この無関心な態度は、彼が何かを予測していたのではないかと疑わせた。ウノはその異常に気づかず、少しの残念さを込めて言った。「はい、そして参加できないだけでなく、モンスターで満ちた洞窟に追放されて自分で生き残るしかありません。」
この発表により、教室内は騒然となった。誰かは非難し、誰かは自分の安全を心配し、誰かはコフナルを冷笑で嘲笑していた。しかし、コフナルはただ肩をすくめて再び口を開いた。「それなら、私を元の場所に戻してもらえますか?」
「それはできません。この転送陣は一方向のみの転送です。」ウノは冷たく答えた。
「冗談じゃない。」コフナルの口調は少し興奮しているように見えたが、その声は平坦で硬直していた。「あなたたちは私たちをここに送り込んでおいて、今度は数値が低いからといって捨てるなんて、まるで性能の悪いスマホのように扱うつもりですか?」
彼の硬直した演技は、その場にいる全員を気まずくさせた。ウノもただ冷酷に彼を見つめていた。「あなたがどう言おうと、追放は決定事項です。運が良ければ、生き残れるかもしれません。」
その言葉が終わると、ウノはコフナルに転送魔法をかけ始めた。コフナルは自分の身体が徐々にこの空間から消えていくのを感じ、突然口を開いた。「ねえ、最後に一つ質問させてくれ」
ウノが振り返ると、コフナルは唇を使って無言で「あなたはボラドール兄弟に操られているのか、それとも自分の意志で彼らに仕えているのか?」と問うた。
ウノの瞳孔は激しく収縮し、彼女の体は無意識に震え始めた。
「ウノさん、どうしました?」教師の声が彼女を現実に引き戻した。
ウノは深呼吸し、冷静さを取り戻した。彼女は簡単に次の訓練内容を説明し、すべての学生をその暗い部屋から連れ出した。