7/42
なな、
つい錯覚してしまう程に、ここには穏やかな空気が流れている。今日も変わらず、空は青い。遠く、どこまでも続く空の色は私の時代と何も変わらない。もしかしたら、私の居た時代までこの空はつながっていたりするのだろうか。
「よく晴れてるね、今日も」
「洗濯物がよく乾くよ」
突然声が降ってくる事にも、もう慣れた。彼は私があまり驚かなくなって楽しくないみたいだけど、いい加減に慣れないと心臓がおかしくなりそうで怖い。
どこからか姿を現して、私の隣りにすとんと座ったところを見ると、どうやら休憩中らしい。しばらくお互いに言葉を発することもなく、ただ空を見上げていた。手に触れた温度。隣りの彼を見れば思いっきり目が合って、それから二人して笑い合った。
言葉が無くても。
(あなたが傍にいるだけで、私はしあわせなのでしょう)