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よん、
どうもおかしい。これは仕事で、面倒なことだけど必要なことなんだ。だって疑わなければ殺される。俺じゃない。殺されるのは俺の守るべき人間。それをちゃんとわかっているからこそ、俺は今まで忠実にそれを実行してきたはずだ。そう、今だって。
天井板をそっとずらしてつくった隙間から暗い室内を見つめる。布団の上で座り込んで、はらはらと静かに涙を落とす娘を見つめる。声も出さずに、わずかに肩を震わせて泣く姿が痛々しい、なんて思う俺はやっぱり変だ。ぐるぐると胸の中で渦巻くこの感情の名を、俺は知らない。
誰か、教えてくれ。
(何も手につかなくなって任務放棄しちまう前に)




