にじゅうよん、
その遺体は桜の下に埋められた。
遺された男の慟哭を、彼女は知らない。
魂は巡り巡って還ってゆく。
ただ一つの約束を抱いて。
泣きながら目を覚ました。長い夢を見ていた気がするが、内容は全く覚えていない。ただ、部屋のハンガーにかかった真新しい制服を見たときに酷く懐かしいと思った。
「いってきます」
真新しい制服に身を包んで、玄関の扉を開ける。不思議な既視感。何故か前にもこんな事があったと思うが、今日が入学式なのだからそれは無い。首を傾げながらも歩き出す。電車に乗ってまだ馴れない道を歩けば、見えてくる校門。その先に立ち並ぶ桜の花は満開で、風に揺られてざあっと花弁を散らす。
目頭がじわりと熱い。なんだか泣きそうだ。泣くほど桜が好き、という訳でもないのに胸の奥が熱くなる。今日の私はなんだか変だ。
なんとか平常心を取り戻そうと視線を動かしたその先に、一人の男子生徒。どくん、と一つ心臓が大きな音をたてる。気付けは私は彼に向かってゆっくりと歩き始めていた。そのまま、彼の顔がはっきり見える位置まできて、そして私は目を見開く。
脳裏を駆ける、記憶の残像。
「やっと見つけた」
笑顔でそう言った彼に、涙が溢れた。
果たされた約束。
(いつか夢見た、満開の桜の下で)