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泡沫の。  作者: 惠元美羽
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にじゅうに、

ちらちらと雪が舞う。はぁ、と吐いた息は白く凍った。この地に本格的な冬が来るのはもうすぐだ。戦場にも雪は降っているのだろうか。ぐっと胸が苦しくなってけほけほと咳き込めば、手の中に咲いた赤い花。


「こんな所におられたのですか」


背後からかかった声。


「……雪が綺麗だったので」


今頃、あの人達も同じように雪降る灰色の空を見上げているのでしょうか。空を見上げて呟けば、探しに来てくれた女中も同じく空を見上げて微笑んだ。


けほけほげほっ。


身を屈めて咳き込めば、うっすら白く積もった雪の上にぱたぱたと赤い花が咲く。


「もう一度会えたら……なんてきっと無理ね」


この命が尽きるのが先か、この地が攻め落とされるのが先か。


「部屋へ戻りましょう……ここは冷えます」


ただひとつ私にわかるのは、残された時間があと僅かしかないということだけだ。










迫りくる、終焉。

(それは白い雪と共に)


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