16/42
じゅうろく、
「馬鹿なことをしたな」
くるくると手慣れた様子で包帯を巻く彼女は呆れたように言った。きつく巻かれた白い包帯に、じわりと赤い血の染みが浮かぶ。
「……傷痕が残るぞ」
「それは別にいいけど」
血を流し過ぎてくらくらする。そう呟けば、彼女は更にきつく傷口を縛った。途端に増した痛みに思わずうめく。
「自業自得だからな?」
あんな奴をかばうからだ、と吐き捨てるように言った彼女を思わず睨みつければ、逆に睨まれた。
「おまえにとって奴が大切な存在であるように、奴にとってもおまえは大切なんだ」
そんな相手が自分のために傷付いた、なんて。
「耐えられるか?」
それぞれの痛み。
(苦々しい表情をした彼女もまた、その痛みを知っている)