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じゅうご、
急に怖くなった。一人でなにかを考えるものじゃない、と心底後悔した。この時代の夜は暗い。貴重品である灯油やろうそくなんて、とてもじゃないけど私なんかが使う訳にはいかないから、日没後には早々に床に入るようにしている。特にあの人の居ない夜は格段に早い。それは誰に言われた訳でもなく、自分で決めたことだ。……迷惑云々もあるけどそれ以上に、一人で起きていたら悪い事ばかりを考えてしまうから。
もしも帰ってこなかったらどうしよう?大怪我をしていたら?
あの人の仕事は危険なものばかりだから、不安の種は尽きない。待つという事がこんなにも怖いなんて事をはじめて知った。
床から抜け出して、からりと障子を開け放つ。細い三日月がぼんやりとした光を放ちながら、夜に浮かんでいた。
眠れない夜。
(どうか、私を一人にしないで)