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ゆいこが転生した先は、とある王国の牧場だった件-トライアングルレッスンスピンオフ-。

作者: 文学壮女
掲載日:2022/09/20

『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』内の人気企画、“トライアングルレッスン”。

今回はそのスピンオフ作品が募集されました。

転生ものは初めてですが、楽しんでいただけると幸いです。

バランスを崩す自分の身体と、誰かの名前を呼ぶ2人の声。

そして2人が伸ばした手に届かなかった自分の指…。



「…イ、ユイったら!起きて、ユイ!!」

聞き慣れた声でハッと目を覚ます。

「ほら、ユイ!仕事が始まるよ!」

「あ、うん。ありがと、マイ。」


私はユイ・コンドール。

とある魔法が使える私たちコンドール家は、ナロラージ王国で代々、動物の飼育や保護をする仕事をしている。


「ユイ、寝言言ってたよー。」

動物たちを牧場へ促しながら姉のマイがからかうように笑う。

「えー?なんか恥ずかしい!どんなこと言ってた?」

思わず赤面する私に、マイは首を傾げて答える。

「んー、よくわからない言葉だったなー。

『広いお宅…』みたいな?

お城にでも行く夢見てたんじゃない?」

「『広いお宅』?お城なんか出てこなかったけどなぁ。」

私も首を傾げながら思い出す。

「なんかね、不思議な服を着て、階段を登ってたの。

突然飛んできた何かに驚いて落ちそうになっちゃってさ。」

「えー?凄い危ないじゃん!」

「そうなの!でも一緒にいた誰かが助けてくれようとしたような…。」

「誰?」

「わからない。私が着ていたのと同じような服を着て…。

あ、でもその人たちは私のことを『ゆいこ』って呼んでた。」

「ゆいこ?誰?」

「さぁ?」


そんな私たちの会話を遮るように生後間もない動物たちが鳴き声を上げた。

「あぁ、急がないと!赤ちゃんたちのご飯の時間だ。」

私たちは慌てて部屋に戻り、テーブルに着く。

待ってましたとばかりに集まってくる赤ちゃんたちは本当に可愛い。


「その2匹はすっかりユイに懐いたね。

ユイからしか飲まないじゃん。」

マイが1匹の赤ちゃんに小指を咥えさせながら言う。


先週、牧場に現れた2匹の竜の赤ちゃん。

赤い眼の黒竜と青い眼の白竜が嬉しそうに私に寄ってくる。

そして私の両手の小指にそれぞれ吸い付いた。


私たちコンドール家の魔法の1つが小指からミルクを出せること。

この力を生かして動物たちを育てているのだ。



幸せそうにミルクを飲む2匹の竜を見ながら、私はまた不思議な夢のことを考えていた。


階段から落ちる私に伸ばされた2本の腕。

そしてそれに届かなかった私の手は、今しっかりと2匹の美しい竜に掴まれている。


―ゆいこ。

夢で聞こえた2人の声を何故か懐かしく思いながら、私はなんとなく幸せな気持ちに包まれていた。

読んでいただきありがとうございました。

採用された皆さんの作品はとても素晴らしかったので、アーカイブも聴いてみてください!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ユイ・コンドロールにナロラージ王国という名前だけで冒頭からワクワクしながら読み進めました。 牧場で動物の赤ちゃんたちのお世話にほっこりしたところに、小指からミルクのネタに思わず笑ってしまい…
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